「ライオンと交信できる男」、ケビン・リチャードソンとライオンたち

ライオンと対話できる男性としてカラパイアでも何度か紹介してきたが、南アフリカ、ヨハネスブルグ近郊の私営動物保護施設「ライオンパーク」を運営している、動物学者であり動物行動学者のケビン・リチャードソンが、ライオンとガチで接している素晴らしい動画を見ていこう。
ケビンはハイエナやライオン、チーターやヒョウといった猛獣達と共に10年以上も暮らしている。動物の扱いが巧みなケビンは餌で釣って服従させるといった通常の調教方法は使わない。彼は群れを支配するのではなく、群れのメンバーとしてライオンたちと接し、ライオンたちもケビンを受け入れたのだ。
彼は「ライオン・ウィスパラー(ライオンと交信できる人)」として世界的に有名となった。
GoPro: Lions - The New Endangered Species?
ケビンは南アフリカの大都市ヨハネスブルグで1974年に生まれた。彼は大学で動物学を学んだが、その2年後に大学を去ってしまう。
"大学は単細胞生物の研究に長年専念するような所で、哺乳類を学ぶには不充分だったし、それに菜園の害虫カタツムリについて学ぶのに時間を費やしたりするなんて嫌だったんだよ。"と彼は言う。転機が訪れたのはライオンパークの園長がパークで働かないか、とケビンを誘ったときだ。
ケビンは飼育下で生まれた"タウ"と"ナポレオン"という名の生後7ヶ月のライオンの世話をすることとなった。出会った瞬間、このライオンたちに魅了されたケビンは、従来の「餌をやっててなずけて調教する」という方法はとらず、独自のスタイルでライオンたちと交流する方法を確立していった。
Lion Man: Kevin Richardson | South Africa
ケビンは自らが群れの一員になろうとつとめた。人間とライオン、種の違う動物どうしがわかりあえるにはこの方法しかないと思ったのだ。深い愛情と粘り強い忍耐力で、長い年月をかけて、ライオンたちの信頼を獲得していった。
広大な施設内で暮らすライオンたちは、人間の保護下におかれているとは言え、百獣の王であることには間違いない。全力で大地を駆けぬけ、全力でケビンに飛びかかってくる。ライオンたちに、押し倒されることもしょっちゅうだが、ケビンはライオンに殺されるかもと心配したことはないという。ライオンたちがただじゃれついているだけだということを熟知しているのだ。
Living with the LIONS Full Length Documentary
ケビンに対する野生動物学者たちの意見は賛否両論ある。自然界に生息する野生動物への干渉はどんな方法であれするべきでない。という意見が大半だが、野生動物の種の保存を確保していくのに必要な行為であるとする意見もある。
ケビン自身の見解はこうだ。「動物を囲いの中に追い込んだ時から、既に自然界への干渉ははじまっている。ここにいるライオンは半分野生であり半分干渉下にある。これが自然界への干渉であるとは思わない。自分はただ、囲いの中でしか暮らせなくなった動物たちの生活を、より豊かに、より楽しめるようにしてあげたいだけなのだ。」
生まれ変わってもまた今と同じように、動物たちと交わっていくと断言するケビン。彼のようになるのは、並大抵の努力ではない。並大抵の愛情でも動物たちに心を開いてはもらえないだろう。そしてそこに持って生まれた資質も加わってくるのかもしれない。
ケビン・リチャードソンとデンジャラスな仲間たち
via:picturescollections 原文翻訳:R