田中角栄「怒涛の戦後史」(14)名補佐役・後藤田正晴(下) (3/3ページ)

週刊実話



「田中派には二階堂(進)、江崎(真澄)、後藤田という3人の首相候補がいる。順番を間違ってはいかんッ」

 田中派内で台頭してきた竹下を牽制した言葉であった。田中の死後、後藤田は竹下派には入らず、無派閥として田中の旗を守った形となった。

 竹下内閣ができて間もなく、筆者は月刊誌の企画で後藤田にインタビューした思い出がある。後藤田は、苦笑を交じえてこう言っていたのだった。貞女、二夫にまみえずの精神である。

「田中さんはぼくのことを首相候補に挙げていたが、ぼくは自分が“床の間”には似合わない男だと、自分の分際を知っている。断固、固辞だよ。どうあれ、受けることはなかった。田中さんと竹下さんを比べてどうか? 人物の大きさがあまりに違う。比べられたら、田中さんがかわいそうじゃないかな」
(本文中敬称略/次号は元首相・中曽根康弘)

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【著者】=早大卒。永田町取材49年のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『愛蔵版 角栄一代』(セブン&アイ出版)、『高度経済成長に挑んだ男たち』(ビジネス社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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