「托鉢の観光化」で観光収入が増えた一方で様々な問題が生じている (1/2ページ)
朝もやの中、器を手にした僧侶の列に信者が次々と食糧を入れていく――。托鉢は東南アジアならではの風景だ。最近では、托鉢は重要な観光資源となっており、見学するだけでなく体験するツアーなども行われている。しかし、こうした托鉢の観光化により、さまざまな問題が発生しているという。
■僧侶が食糧を得る重要手段が托鉢
タイやミャンマーなどで広く信仰されている上座部仏教では、僧侶は厳しい戒律を守らねばならない。例えば労働が禁止されており、お金に触れてもいけない。このため自分でお金を稼いで食糧を買うことができない。彼らが食糧を得るための手段が、信者から食糧を寄進してもらう托鉢だ。寄進は信者にとっても徳を積むことになるため、非常に重要な行為とされている。
■托鉢の見物や体験が地元の重要な観光資源となっている
そして、この托鉢は重要な観光資源ともなっている。例えば、1995年に市街地がユネスコの世界遺産にされたことで世界中から観光客が訪れるようになったラオスの古都ルアンパバーンがそうだ。メインストリートのサッカリン通りには歴史・格式のある大寺院が多く、托鉢を行う僧侶の姿をあちこちで見ることができる。戒律により僧侶は正午以降に固形物を口にすることができないため、托鉢は早朝に行われる。サッカリン通りにはまだ夜が明ける前から大勢の観光客が托鉢見物に訪れる。
■托鉢されてすぐ「ポイ捨て」
そして、単に托鉢の様子を見物するだけでなく「実際に寄進をする」のも観光客に人気だ。ルアンパバーンで言えば、観光客はサッカリン通りに設けられた椅子に腰かけ、露天商から購入した寄進用の食糧(炊いた米)を少しずつスプーンですくって、僧侶が持つ器の中に次々に入れていく。
しかし、寄進を行う観光客数が増加したことで、僧侶が持つ器の中に食糧が入り切らないといったケースも出てきた。そこで今では観光客用の席の先にはゴミ箱が用意され、僧侶は寄進された食糧を次々に捨てていく、といった事態になっている。