2600年前に斬首された男性の脳。保存状態は良好(イギリス) (2/4ページ)

カラパイア

研究によれば、5年から10年以内に、通常、脳組織は完全に消滅してしまうという。

 だから、「ヘスリントンの脳」は、研究者にとって大きな謎だった。たいてい脳は残らないはずなのに、意図的なミイラ化や氷漬けといった特殊な環境下でもないのに、2000年以上もその形状を保っていたことは奇跡に近い。

 今回、分子・統計学レベルの分析を続けた結果、「ヘスリントンの脳」がこれほど長い間、保存された理由が判明した。それはタンパク質の凝集だ。

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Dr Axel Petzold

・脳が自ら保存状態に入った

 つまり、脳は実質的に自らを保存したことになる。ニューロンや星状細胞などの神経や脳細胞の構造を支える、あるタンパク質が脳組織の中で群がっているのが発見されたのだ。

 そのタンパク質が集中して集まることによって、脳組織が長年安定し、自然の腐敗プロセスを遅らせているのだという。

 驚くことに、「ヘスリントンの脳」の神経タンパク質は、現代の脳のそれよりも安定していることもわかった。タンパク質の安定性は、いかにタンパク質がうまく機能するかを示す間接的なシグナルになると、研究者は説明する。

 興味深い点もある。タンパク質の凝集は、通常、アルツハイマーやパーキンソン病などの脳疾患を伴うが、この古代人の脳にはそうした疾患の痕跡は見られなかったという。

 「ヘスリントンの脳」の場合、なにが引き金になって、このたんぱく質凝集が起こるようになったのかははっきりしないが、頭蓋骨が埋められていた場所や、その埋められ方が関係しているのではないかと推測される。

 研究チームのこの発見は、人間の脳を生前も死後も良好に保存する新たな技術を生み出す可能性を秘めている。文字通り、古代人の遺産なのだ。
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