2600年前に斬首された男性の脳。保存状態は良好(イギリス) (1/4ページ)
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人類が鉄を作り、武器をこしらえ始めたおよそ2600年前、ひとりの男が斬首された。その首は粘土質の泥の中に埋まり、2008年にヨーク考古学トラストの研究者が発見するまでずっとそのままだった。
驚いたことにこの男の頭蓋骨の中には、脳がそのまま残っていた。発見場所が、イングランド、ヨーク郊外の村ヘスリントンだったので、これは「ヘスリントンの脳」と呼ばれている。
長い年月のせいで多少縮んではいるものの、保存状態は非常によく、脳組織はほぼ無傷で、脳のトレードマークであるしわや溝ははっきりと残っている。
・ユーラシア大陸で発見された最古の脳
ヘスリントンの脳は、ユーラシア大陸で発見された最古の脳と考えられていて、保存状態も実に良好だ。
「Journal of the Royal Society Interface」に発表された研究報告には、脳がこれほどまでに長期の時間の試練に耐え、その形状を持ちこたえた理由が示されている。

Dr Axel Petzold
・なぜヘスリントンの脳は原型をとどめたままなのか?
この10年間、研究者たちは「ヘスリントンの脳」がどうやって、またはどうして、ほぼ原形をとどめたまま残っていたのかを探ってきた。この脳以外に、人間が意図的に手を加えずに保存された鉄器時代の脳はひとつもない。
当然のことながら、脳の持ち主が死ねば脳は急速に腐敗する。人間が死ぬと、自己分解というプロセスが始まり、組織や臓器が崩壊し始める。
脳の80%は水分なので、まず最初に分解が始まる臓器のひとつだ。