2600年前に斬首された男性の脳。保存状態は良好(イギリス) (3/4ページ)

Dr Axel Petzold
概要:
人間のタンパク質は、自然の状態の温度では、長い間保つことができないことはわかっている。とくに、人間の脳は、本体の死後急速に、自動的にタンパク質が分解され、腐敗することによって壊れていく。
放射性炭素年代測定によってわかった、この2600年前の脳のタンパク質は、非アミロイド系タンパク質の凝集のおかげで、異様に長い間、安定することができる新たな証拠を示してくれた。
免疫電子顕微鏡を使って、現代の脳よりも縮んでぎっしり細胞が詰まったように見えるこの古代の脳に、神経細胞構築がちゃんと残っていることが確認された。
タンパク質の凝集からの、中間単線維分離(IFs)には、2~12ヶ月かかった。電子切開された脳組織のホモジェネート(細胞構造を細かく破壊して得られる懸濁液)を免疫分析したところ、脳の灰白質、白質組織のⅢ型(GFAP、グリア繊維酸性タンパク質)やⅣ型(ニューロフィラメント)IFsという既知のタンパク質構造が保たれていることが明らかになった。
さらに、質量分析法データが、多くのペプチドシーケンス、とくにGFAPやNFsと一致。先史時代の人間の脳内タンパク質の免疫原性が保存されていることが、抗体の生成(GFAP、Nfs、ミエリン基本タンパク質)によって証明された。
脳のタンパク質とは逆に、DNAは劣化していて、信頼できる配列決定を妨げていた。この古代人の特異な脳の長期データから、凝集体を形成することで、1000年以上もの長期間の脳の保存が可能になったことが証明されたといえよう。