これまで未発見。人間の脳で発生するシグナルが新たに発見される(ドイツ・ギリシャ共同研究) (2/5ページ)
樹状突起は神経の信号機のような役割を果たしており、流れてきたシグナルをそこで停止させたり、先に進めたりしている。シグナルがその先の神経細胞への伝達を許されるのは、活動電位が十分に高いときだ。
これが脳の論理演算の基盤となる。それらは集合的に伝えられる電圧の波紋で、「AND演算」(xかつyを満たしたときに伝えられるシグナル)と「OR演算」(xまたはyを満たしたときに伝えられるシグナル)の2種類がある。

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・これまで観察されたことのない電圧の波形
まだ議論の余地はあるだろうが、人間の中央神経系のシワのよった外側の部位、つまり「大脳皮質」ほど複雑な場所はないだろう。
より深いところにある第2層、第3層は特に分厚く、感覚、思考、運動制御といった高次機能に関連していると考えられている枝が密集している。
今回詳しく研究されたのは、これらの層の組織で、てんかん患者から外科手術で切除されたものが利用された。
実験では、細胞体樹状突起パッチクランプという装置で各神経細胞の活動電位を上下させ、そのときのシグナルが記録された。その結果、これまで観察されたことのない電圧の波形が生じたのだ。
脳腫瘍から採取したサンプルでも同様の結果が得られているので、この現象はてんかん患者特有のものではないようだ。
ラットでも同じような実験が行われたが、人間の細胞で観察されたものとはかなり異なっていたという。
だが、より重要なのは、細胞にナトリウム・チャネル阻害薬を投与してもなおシグナルが観察されたことだ。それを止めるにはカルシウムを阻害する必要があった。つまりカルシウムがこのシグナルを媒介しているということだ。