医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<水疱瘡>「肺炎・髄膜炎・脳炎…喫煙者に“15倍”の発症数」

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医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<水疱瘡>「肺炎・髄膜炎・脳炎…喫煙者に“15倍”の発症数」

 水疱瘡は子供の病気というイメージがあるが、大人がかかると重症化するおそれがある。

 水疱瘡ウイルスに感染すると、約2週間の潜伏期間を経て赤く腫(は)れた発疹ができ、6~10日かけて強いかゆみを伴う水ぶくれになり、かさぶたへと変わっていく。38℃以上の高熱に襲われることも多い。治療薬にはアシクロビルとバラシクロビルが用いられているが、発症後、大人であれば4日以内に服用すれば効き目がある。

 大人の水疱瘡のリスクは「肺炎(水痘(すいとう)肺炎)」「髄膜炎」「脳炎」を併発する場合があること。中でも「男性」「妊婦」「喫煙者」に発症のリスクが高く、特に喫煙者の場合は、非喫煙者に比べて15倍もの発症数があるといわれている。

 水疱瘡は一度感染すれば、再び感染することはないが、子供の頃にかかった水疱瘡ウイルスは、体内の神経細胞が集まった部分に何十年も潜伏している。通常は発症が押さえられているが、ストレスや過労、重い病気などを引き金として、ウイルスが神経節から、その神経を通じてつながっている皮膚の表面に出てくることがある。これが帯状疱疹だ。

 帯状疱疹は、皮膚の表面が赤くなった状態になり、口の中や顔回り、胸や背中などに現れる。最初は体の一部にチクチクした神経痛を感じる程度だが、数日かけてポツポツと水ぶくれができて、痛みが強くなり、激痛を伴うものに変わっていく。一番の特徴は、水疱が体の片側だけに帯状に発生し、激しい痛みを伴うことだ。帯状疱疹は他者にうつる心配はないが、水ぶくれの中のウイルスによって、水疱瘡ウイルスに免疫がない人が感染する可能性もある。

 帯状疱疹ができた場合は、ウイルスを抑える薬を使って治療する必要があるため、まずは皮膚科を受診しよう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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