「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉知ってる?鈴木春信の浮世絵に見る江戸時代の梅の花 (5/6ページ)
特に「江戸名所花暦」には、亀戸の梅屋敷の〈臥竜梅〉こそが絶品と書かれています。
上掲の浮世絵ですが立て札に“臥龍梅”書いてあるように、ここは亀戸の梅屋敷内でしょう。その臥龍梅の前で、煙草入れから煙管に刻み煙草を詰めて女性の方から、まだ頭を剃っている少年とも言えるような男性に煙草の火をもらっている場面です。
男性のそばには小僧さんがいて、旦那さんの履き替え用の下駄を持っています。そのような小僧さんを連れ歩くとは相当のお金持ちです。
ただこの女性、振袖は当時少女と言える年頃の娘が着るものでした。それが煙草を吸うとは、しかも男性からのもらい火とは遊女でしょうか。しかし浮世絵はただ事実を描くものではありませんので、そこをつついても野暮かもしれません。
しかしこのように煙管や煙草のもらい火から、人間同士の会話が始まり、気が合えば恋に落ちたりするという、「梅見」も一つの出会いの場であったのでしょう。
また、少年の袖に描かれている源氏香は「花の宴」という名前がついています。このことからも「梅見」が人々の大切な行事であったことが分かります。