プロレスを見て「面白い!」と思うのはなぜか。現役選手が教える「表現としてのプロレス」 (2/3ページ)

新刊JP

TAJIRIさんによれば、この「サイコロジー」はプロレスを良質な試合に仕上げるために必要不可欠なもので、これが欠けてしまうと試合がぐちゃぐちゃになってしまうという。

「サイコロジー」の具体例の一部を本書から紹介しよう。

「プロレスという枠組み」について
・イイ者vs悪者という構図はわかりやすくてノレる
・イイ者には華麗な技が似合うが、悪者には(通常は)に合わない。悪者にはパンチやキックなどの乱暴な技にほうが似合う。
 
「試合の流れ」について
・胸元へのチョップと、胸元へのミドルキックが得意な選手がいる場合、その二つの技を繰り出す順番は(特別なことがない限り)①チョップ②ミドルキックであるべきだ。
→チョップよりもミドルキックのほうが相手に与えるダメージが大きいので、この順番が逆になると、大砲を打ち込んでも死ななかった空いてに小型拳銃で大砲以上のダメージを与えようとする無意味な行為となるから。
・蹴りが得意な相手と戦う際は、その蹴りを出させないように徹底して脚を狙う。
・大型レスラーがちょこまか動くとその大きさが目立たなくなるので必要最低限だけ動くようにする。
(p.127-p.128より一部引用)

いわば物語の作り方やリングに上がる登場人物たち(キャラクター)の動き方のルールといってもいいのかもしれない。リングに上がるキャラクターたちが最高に自分自身を表現するために、そして、そのキャラクターたちに人々が熱狂するために、欠かすことができない基本フォーマットなのだ。

TAJIRIさんはこの「サイコロジー」を「当たり前のことを当たり前に展開すること」だと解釈する。プロレスは興行であるがゆえに、ファンを楽しませることが何より大事だ。大衆娯楽として広く受け入れてもらうためにはこうした定石を遂行する。WWEはそれを徹底しているという。

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