プロレスを見て「面白い!」と思うのはなぜか。現役選手が教える「表現としてのプロレス」 (3/3ページ)
もちろん、「サイコロジー」を無視したプロレスに熱狂する人もいるし、そのプロレスを否定はしないとTAJIRIさん。しかし、自身としては、「サイコロジー」の大事さを主張し続けなければ、プロレスの存亡に関わる大問題になると危機感を持っている。
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見ている人たちが熱狂できるように、楽しめるように、無駄を徹底的に排除していく。「サイコロジー」はいわば、プロレスという表現の方法論なのだろう。
「意味のないシーンが一瞬でも存在してはいけない」
これはエンターテインメントと呼ばれるジャンルの基本だ。前述した「プロレスってスポーツでも格闘技でもない。表現の世界だとオレは思う」というツイッターの投稿は、こうしたことをWWEで学んできたTAJIRIさんだからこその言葉なのだ。
しかし、ただエンターテインメントだけではないのがプロレスの奥深いところの一つであり、鍛え抜かれた身体の強さや技術の土台が絶対条件となって、初めてその舞台で仕事をまっとうできるというわけである。
また、本書ではWWEの話で終わりではなく、その後のプロレス業界の変化の中で自分のプロレスを追求するために動き続けるTAJIRIさんの姿が描かれている。
2010年に自身の団体であるSMASHを立ち上げたときは、「キャラクター」と「物語」を重視したストーリー演出を考え、興行として成功を収めた。しかし、「創作家」タイプであったがゆえに、2年間でSMASHに終止符を打つことになる。
誰もが気軽にコンテンツを作れる時代だからこそ、「人の心を魅了するものとは何か」ということを追求できる人が、一歩前に出るのだろう。プロレスが好きな人も、そうでない人も、その世界に引き込まれる一冊だ。
(新刊JP編集部)
*1…TAJIRIさんのツイッターより(2018年8月5日投稿、2020年1月29日確認)
https://twitter.com/TajiriBuzzsaw/status/1025789880012431360