どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【二】 (4/5ページ)
目を覚まし、窓の格子(こうし)を上げた光源氏は、庭一面の雪景色に心を奪われました。
「ほら我が姫君、ご覧。とても美しい雪げ……げえっ!?」
振り向いた光源氏は、脊髄反射で顔を背けるも、どうしても視線が姫君の方へと吸い寄せられてしまいます。
初めての夜を共にした二人だったが……。尾形月耕「源氏五十四帖 六 末摘花」より。
そんな姫君の姿と言えば、座高は高くて猫背、青白い肌に広い額と、馬のように長い顔……聞いただけでも不美人と察しがつくところへ、極めつけはその長い鼻。
【原文】普賢菩薩の乗物とおぼゆ(普賢菩薩の乗り物=象のようだ)。
その先っちょは垂れ下がって少し赤く色づいており、その異様さを通り越して不快感をもよおしたそうです。
更にその体格は痛々しいほどやせ衰え、骨ばった肢体が衣の上から判るほどにゴツゴツしており、道理で昨夜は姫君を抱いた身体じゅうが痛かったわけです。
ついでにそのファッションセンスも実に微妙で、衣の上から黒貂(ふるき※6)の皮裘(かわごろも)をまとっています。