今の憲法は、日本人にとって「損」か「得」か。爆問・太田と中沢新一の13年ぶり対談本 (2/3ページ)
あとがきで「『護憲』としての自分」と述べているし、13年前の前作でも護憲の立場ではあるが、憲法改正のための議論の活性化を強く求めている。もっと日本中で議論を、というのが太田さんの考えのようだ。
その上で2人の考えに共通していることも多くある。
その一つが、改憲議論の成熟の必要性だ。
前述したように改正のための国民投票は、議論の活性化のための良い契機になるかもしれない。
夏に開催されるオリンピックに向かって、今、テレビをはじめとしたメディアはたくさんのアスリートたちを取り上げている。つまり、日程が決まってしまえば、そこに向けて様々なものが動き始めるのだ。
「国民投票をやると決まれば、『なんなんだろう日本国憲法って?』っていうとこから、みんなが話し合える、結論も出せる」とは太田さんの考えであり、中沢さんは「右や左のイデオロギーの人たちばかりじゃなくて、脱イデオロギーを完全に遂げた世代の現実感覚も交えて、ガーガーやるのです。そういう状況はむしろ好ましいんじゃないかな」と言う。
■「自民党憲法改正案は物足りない」もう一つ、2人に共通している認識がある。それは改憲議論のための最重要材料であり、日本人の将来をかたちづくる「自民党の憲法改正案」の物足りなさである。
特に太田さんが不満だと述べているのが、安倍首相の姿勢だ。
太田さんは護憲であっても、改憲であっても、極端さを求める。例えば、「自衛隊の明記」については、「安倍さんのほうには『軍隊を持ちましょう、しかも世界一の軍隊を持ちましょう』っていう極端な理論を掲げてもらって、こっちは『非武装、まったく丸腰にしましょう』と。要するに両極端にふれないと、話し合ってて面白くないと思うわけですよ」と述べる。
本書を読んで太田さんの言葉に対して「そんなに極端に振れなくても…」と思うかもしれない。しかし、言葉の間からは、このくらい極端でなければ大衆の目を向けることができないという考えを垣間見ることもできる。