痛々しいけど愛おしい♡室町時代の中二病文学「閑吟集」より特選14首を紹介【中】 (2/5ページ)
「もう騙されない。あなたの浮気性にはほとほと愛想が尽きました!」
何を仰(おしゃ)るぞ せはせはと 上の空とよなう こなたも覚悟申した
【意訳】何を言っているの、今さら取り乱してみっともないったら。あなたの浮気性には、もう愛想が尽きました(なので、私も別れを決意しました)。
こちらの「仰る」は先ほどの「おしやる」とは異なり「おしゃる」と語呂を重視した変化をもたせ、リズミカルな文調を展開。男を捨てる覚悟を決めた女性の、未練もないアッサリ感が出ています。
「せはせは(忙々。せわせわ)」とは、心を亡くして動転するみっともない様子を表し、室町期によく用いられた慣用句の一つです。
また、続く「なう」は「のうorの」と読み、『閑吟集』ではよく使われる表現なので、覚えておくとスムーズに読めるでしょう。
本題に戻ると、恐らく男は伊勢の地で浮気を繰り返し、この女性(妻)を泣かせて来たのでしょう。ほとほと愛想が尽きた妻に捨てられ、慌てて京都まで追いかけて来た男ですが、残念ながら復縁の見込みはなさそうです。