痛々しいけど愛おしい♡室町時代の中二病文学「閑吟集」より特選14首を紹介【中】 (4/5ページ)

Japaaan

そう大した内容でもありませんが、この「離るるるるるるるる」のワンフレーズに全力を込めて、別れの悲しみを表現したことが解ります。

身分違いの恋に弄(もてあそ)ばれた女性が、無情に捨てられた恨みを教訓として伝えている情景が目に浮かびます。

9、身は近江舟かや 死なで焦がるる

【意訳】私は近江舟(おうみぶね)のように琵琶湖の波間を翻弄されながら、死ぬこともできず心を焦がすばかり……。

近江は「逢(お)う身」、「死なで」は「志那(しな。琵琶湖畔の地名)で」、「焦がるる」は「漕がるる」にそれぞれかけた言葉です。

想い人につれなくされたのか、その心は琵琶湖の波間に翻弄されながら、一縷の未練ゆえに死ぬこともできず、舟のごとく漕がれ続けるばかり……そんな辛い思いを詠んだ、舟にまつわるもう一首。

人買ひ舟は沖を漕ぐ とても売らるる身を ただ静かに漕げよ 船頭殿

【意訳】……どうせ売られる身なのだから、せめて静かに漕いで下さいな……。

内陸と言っても広大な琵琶湖は、沖に出れば波も高く荒いもの。身売りせざるを得なかった女性が、未来を悲観する心情を詠んでいます。

人身売買が当たり前のように行われていた、暗い時代の一幕です。

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