痛々しいけど愛おしい♡室町時代の中二病文学「閑吟集」より特選14首を紹介【中】 (5/5ページ)
10、小夜小夜 小夜更け方の夜 鹿の一声

【意訳】夜、夜、夜も更けて来たころ、鹿の啼く声が聞こえた。
小夜(さよ)とは夜のこと(小は修飾語)。何度も繰り返すことで孤独な夜の寂しさ、澄んだ空気に響き渡る鹿の啼き声を強調しています。
さて、その声はいったい何を意味しているのでしょうか?
めぐる外山(とやま)に鳴く鹿は 逢うた別れか 逢はぬ怨みか
【意訳】近くの山で鹿が啼いているが、愛しい人とこれから別れるのか、あるいはその愛しい人が来なくて怨んでいるのか……。
外山とは山の外側、すなわち人間世界に近い里山を意味します。鹿も別れが辛いのか、あるいは捨てられたことを恨むのか。孤独な者同士、親近感を覚えているようです。
ここでちょうどキリよく10首ですが、残る4首もぜひぜひ紹介したいので、どうかもうちょっとだけおつき合い頂けましたら幸いです。
【続く】
※参考文献:
浅野建二 校注『新訂 閑吟集』岩波文庫、1989年10月16日
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