元大関・豪栄道、武隈親方「引退後は稀勢の里に惨敗(笑)」 (3/5ページ)
武 14年も記憶に残っていますね。春場所12勝、夏場所8勝で、次の名古屋場所で13勝を挙げれば、大関昇進という状況だったんです。それなのに、前半戦で2敗してしまって……。そんな中、迎えた11日目の横綱・白鵬戦。なかなか勝てなかった横綱に勝ったことで、自信になりましたね。そして13日目から3連勝して、なんとか大関に昇進することができたんです。
――大関昇進の口上「謹んでお受けいたします。これからも大和魂を貫いて参ります」は、印象的でした。
武 大和魂という言葉の解釈はいろいろあると思うんですが、自分はヤセ我慢を含めた我慢強さだと思っているんです。力士なんだから、痛いところもあるし、悔しくて泣きたいときもたくさんある。でも、そういう部分を表に出さない。言い訳をしない。そうした力士でありたいと思ったんです。
――そして大関昇進後、3度目のカド番で迎えた16年秋場所、全勝優勝という大輪の花を咲かせます。
武 大関昇進以来、毎場所優勝を狙っていましたけど、まさか全勝できるとは……。13日目、日馬富士関に勝って13戦全勝になって、翌日にも優勝が決まる――という状況になったときは、さすがに一睡もできなかった。自分は緊張するタイプじゃないと思っていたのに、意外と“緊張しい”なんだなって思いましたね。何度もカド番を経験して、それでも師匠、おかみさん、応援してくれる人たちに支えてもらったから、優勝を果たせた。地元での優勝パレードでみんなが喜んでくれている姿を見て、お腹いっぱいになりましたね(笑)。やっと恩返しできた瞬間でもありましたね。
――この優勝の後、綱獲りを期待されたわけですが……。
武 そうですね……。このとき、自分では「どうしても、横綱になるんだ」という気持ちにはならなかったんです。力士の中には、「横綱になりたい」と、目標を口に出して言う人がいますけど、自分は別のタイプなんです。