新型コロナとの「戦争」に勝てるか? 政府の危機対応に見る『失敗の本質』 (2/4ページ)
たとえば3月28日に文化庁長官の宮田亮平氏名義で発表されたメッセージ(*1)は、「明けない夜はありません! 今こそ私たちの文化の力を信じ、共に前に進みましょう」という精神的な一文で結ばれ、メッセージの全体を読んでも具体的な施策や補償については触れられていない。
また、ノモンハン事件の分析部分には次のように書かれている。
大兵力、大火力、大物量主義をとる敵に対して、いたずらに後手に回って兵力逐次使用の誤りを繰り返した。情報機関の欠陥と過度の精神主義により、敵を知らず、己を知らず、大敵を侮っていたのである。(p.68より)
この一文はオリンピック開催・延期をめぐる議論と重なる。オリンピックの今年夏の開催については世界的に感染が爆発しても、森喜朗大会組織委員会会長はなお頑なに延期を否定し、安倍首相は「完全な形で」とお茶を濁すばかりだったが、3月24日、ついに延期が決まった。
延期が決まったことについては安堵すべきだが、ここまで状況が悪化した状態まで引っ張るとは…と多くの人が思ったはずだ。
さらに3月30日、小池都知事は記者会見で「2021年7月23日開催」を発表。これは1年後にコロナ禍が終息していることを見据えての判断なのだろうが、実際に1年後に終息する明確なシナリオは存在しない。
森会長は安倍首相の延期日程決定に「2021年に賭けたと感じた」と話したと報道されているが(*2)、本当に「賭け」ならば、精神主義の最たるものと言えるだろう。
『失敗の本質』の第二章では、事例分析からそこに共通する性格を見出している。「ノモンハン事件」と重複するものもあるが、箇条書きで出していこう。