新型コロナとの「戦争」に勝てるか? 政府の危機対応に見る『失敗の本質』 (3/4ページ)

新刊JP

・あいまいな戦略目的
・短期決戦の戦略思考(長期的展望なきままに戦争に突入)
・グランド・デザインの欠如と場当たり的な対応
・主観的で帰納的な戦略の策定
・狭くて進化のない戦略オプション
・学習を軽視した組織

この3つ目のグランド・デザインの欠如については、「日本軍は、初めにグランド・デザインや原理があったというよりは、現実から出発し状況ごとにときには場当たり的に対応し、それらの結果を積み上げていく思考方法が得意であった」(p.285より引用)としている。

今のコロナ禍における日本政府の対応を見ると、長期的展望に立って判断しているのかどうか、国民から見ても判断がつかない状態だ。展望をしっかり言葉にするわけでもなく、「新型コロナに立ち向かっていく」という精神論がメッセージの主体だからである。

さらに本書では次のように指摘される。
「このような思考方法は、客観的事実の尊重とその行為の結果のフィードバックと一般化が頻繁に行われるかぎりにおいて、とりわけ不確実な状況下において、きわめて有効なはずだった。しかしながら、すでに指摘したような参謀本部作戦部における情報軽視や兵站軽視の傾向を見るにつけても、日本軍の平均的スタッフは科学的方法とは無縁の、独特の主観的なインクリメンタリズム(積み上げ方式)に基づく戦略策定をやってきたと言わざるをえない。」(p.285より引用)

場当たり対応的な戦略にも良さがあるが、科学ではなく主観を重きに置いたがためにそれが有効に働かなかったということだ。

さて、今の日本政府の対応はどうだろう。確かに長期的な戦略を策定・遂行するにあたり、いろいろな調整は必要なのかもしれない。しかし、長期的展望が欠如したまま、具体性のない呼び掛けをしていても、現場は疲弊するばかりだ。そして、短期決戦に持ち込もうというも、諸外国の状況を見る限り難しいのではないかと思える。

■「ウイルスとの戦争である」という認識はあるのか

前述のように、マクロン仏大統領が「これは戦争です」と述べるなど、諸外国では、この状況を新型コロナウイルスとの「戦争」と認識している。

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