新年度に教養を学ぶならこの一冊。脳を通して理解する「人間」という存在 (1/2ページ)
4月になり、就職や転職、部署異動や転勤など環境が大きく変わったという人も少なくないだろう。また、心機一転、この春から自分を変えたいと思って、何か動き出そうとしている人もいるはずだ。
気持ちの切り替えをするには、タイミングが大事。
そのタイミングとしてうってつけなのが、「新年度」である
もし、この春から教養を学び直したいと思うならば、ぜひ挑戦してみてほしい一冊がある。
『「人間とは何か」はすべて脳が教えてくれる』(羽根由、枇谷玲子訳、誠文堂新光社刊)だ。
本書はノルウェーの神経学専門医であるカーヤ・ノーデンゲン氏が、「なぜ人類は繁栄できたのか」というテーマについて、脳・神経科学の切り口から分析していく一冊。哲学や進化学、人類学に至るさまざまな学問分野を横断しながら、人間とは何かを教えてくれる。
当たり前に私たちは考え、話し、創造する。しかし、そうした行動を通して文化を作れるのは、私たち人間しかいない。複雑な構造の脳を持つ私たちだからこそ、この社会を築いてきた。その脳の奥深い世界を、本書から少しのぞいてみよう。
■人間はなぜ文明社会を築き上げることができたのか?動物は基本的に「本能の奴隷」とも言える。目の前にあるのは「今」という時間だけだ。一方、人間はそうではない。現在だけではなく、過去と未来という時間感覚を持っている。
この文明社会を築き上げてきたのは、まぎれもなく人間だ。その背景にあるのは「協働」である。一人で動くのではなく、複数の脳が寄り合い、アイデアを出し、コミュニケーションを取り、自分の知識や技術を教え合ってきた。「思考と言葉を互いに交換することで、私たちは本能の奴隷にならずにすむようになりました」と著者はつづる。
さらに、他者と協働していくには、他者理解が必要だ。つまり「共感」である。そこでは、人間の大脳皮質にある特別な神経細胞が役立っていると脳科学者たちは言う。その特別な神経細胞は、「ミラーニューロン」と呼ばれている。
人間たちは脳を進化させ、共感し、協働しながら、強くなってきたのだ。