歴代総理の胆力「宇野宗佑」(1)“逆風3点セット”とスキャンダルで惨敗 (2/2ページ)

アサ芸プラス

自民党には、折からリクルート事件、消費税制定、農産物自由化問題の“逆風3点セット”があり、そのうえでの宇野の女性スキャンダルが重なっては、初めから勝ち目はなかった。

 選挙後、宇野は選挙敗北の責任を取らされる形で、超短命での退陣を余儀なくされた。総理在任わずか69日、戦後3番目の短命内閣であった。降って湧いた総理の座、その自覚が乏しかったとはいえ、それにしてもあまりの脇の甘さを露呈したと言えたのだった。

 首相退陣から約半年後、宇野は厳しい情勢下、今度は自らの衆院選に立ち向かわなければならなかった。それまでの〈滋賀全県区〉(中選挙区制)では常に楽勝、選挙期間中タスキをかけず、有権者との握手もしないという“殿様選挙”だったが、この選挙はさすがに顔色が変わったものであった。

「過去の栄光は真綿にくるんでポケットに入れ、一兵卒として頑張る」とし、タスキがけはもとより、演説が終わると演壇や街宣車から必ず降り、握手に次ぐ握手といった具合、戦術を変えたのである。

「元来がプライドの高い人物だったが、背に腹は代えられぬの悲壮感さえ漂っていた選挙戦だった。元々、選挙地盤は固く、この“全力投球”が功を奏した感があって当選を果たすことができた」(当時の政治部デスク)

■宇野宗佑の略歴

大正11(1922)年8月27日、滋賀県生まれ。学徒出陣、神戸商大を中退。昭和35(1960)年11月、衆議院議員初当選。平成元(1989)年6月、竹下退陣を受けて自民党総裁、内閣組織。総理就任時66歳。平成10(1998)年5月19日、75歳で死去。

総理大臣歴:第75代 1989年6月3日~1989年8月10日

小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。

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