「ああ、幸せなおれ」。夢枕獏、格闘小説誕生の舞台裏! (3/5ページ)

日刊大衆

これに『チャンピオン』の連載と、新聞の連載が加わって、現在十二本の連載を平行してやっているのだよ。その中にはもちろん『キマイラ』も『餓狼伝』も『陰陽師』も入っている。年内に始める予定だった三本の連載を先送りにして、毎日毎日原稿の日々なのである。もう六十九歳だよ。どうなっているんだ、おれ。

 まあ、とにかく『チャンピオン』の連載が楽しい。

 小説というのは、どういうものであれ、ファンタジーだと思っている。

 格闘小説もそう。

 その同じファンタジーでも、ぎりぎりありそうなファンタジーになっているのは『餓狼伝』である。ここからはるかにぶっとんだファンタジーになっているのが『バキ』だ。『ゆうえんち』は、この『バキ』と『餓狼伝』の中間くらいのファンタジー度を意識している。つまり、『餓狼伝』でやれなかったことをひたすら書けるおもしろみがある。それもこれも、『週刊少年チャンピオン』という少年漫画誌の立ち位置にある。

 ああ、幸せなおれ。

 それに絵が素晴らしい。小説の中には、ふんだんに絵が入っている。漫画の絵だ。藤田勇利亜さんという漫画家の絵が、最高である。連載中にも、どんどん上手になって、迫力が増して、ぼくとしては、早くこの連載を終えて、藤田さんに漫画を自由に思う存分描いていただきたいのだが、ついつい長くなってしまうのが申しわけない。

 つい、長くなる。たぶんぼくは、世界で一番、素手の格闘小説を書いている人間だと思う。

 ああ、藤田さんのことだ。

 僕が、文章で格闘シーンを書くーーそれを藤田さんが、どう絵にするのかは、ぼくの毎回の楽しみでもあるのだが、時には、このシーン、文章でどこまでイメージが伝わっているか不安になる時がある。そういう時、こういうシーンであると、ヘタクソな絵を描いて、原稿をお渡ししているのだが、それをここで紹介しておこう。

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