行使するには命がけ!武士の特権「斬り捨て御免」にはむやみに発動できない様々なハードルがあった (2/3ページ)

Japaaan

この「止むを得ない」かどうかは自己申告でなく、客観性を担保する証人や証拠が必要とされ、正当性が立証できなかった場合は、通常の殺人以上に重く罰せられ、死罪の場合は武士としての体面を保つ切腹すら許されぬ打ち首(斬首)とされました。

これは「武力(帯刀)を恃み、自制を欠く狼藉に及んだ」つまり武士にあるまじき振る舞いと見られたためで、とかく武士は自らを律する高い精神性が(たとえ体面上とは言え)求められたようです。

また、無礼討ちの正当性が認められる場合であっても、斬った者は速やかに奉行所に届け出る必要があり、情状のいかんを問わず二十日以上の自宅謹慎を命じられました。

併せて斬った刀などの証拠品は一時押収され、後に奉行所から出頭を命じられた際には正当性の立証に迫られたのです。

ちなみに、無礼討ちは相手から受けた無礼に対してその場で即応せねばならず、「あの時は黙っていたが、やっぱり許せない」と言った卑怯未練の動機は認められませんでした。

そもそも武士たる者、侮辱を受けたならば、その時点で自分が死んだ(殺された)ものと心得て、躊躇いなく(死罪など厭うことなく)相手を殺さねばならないからです。

一度抜いたら、必ず斬れ。そして死を覚悟せよ。

そして、一度刀を抜いた以上は目的=相手の殺害を仕果たさねばならず、相手に逃げられた場合は「武士の本分である武の研鑽を怠っていた」としてこれまた処罰の対象となりました。

「行使するには命がけ!武士の特権「斬り捨て御免」にはむやみに発動できない様々なハードルがあった」のページです。デイリーニュースオンラインは、武士道武士江戸時代法律カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧