かつて大相撲の断髪式は土俵に直接正座して行っていたって知ってた!?
昔の断髪式の写真…今とどこが違う?
皆さん、こちらの写真をご覧ください。
以前Japaaanでもご紹介したことのある、大相撲の力士の断髪式の様子です。
ヘアドネーションする力士も。引退した力士はなぜすぐには髷(まげ)を切らないの?この写真に写っている大横綱・双葉山の断髪式は1946(昭和21)年ですが、この写真には現在の断髪式では決して見られない「大きな違い」があります。
いったいそれは何でしょうか?
断髪式をする力士の「座り方」が変わった!それは、土俵上の引退力士の座り方です。
現在なら、引退した力士は断髪式の最中、土俵上の椅子に座っているのが一般的ですよね?ところが双葉山は、土俵上に直接正座していたのです。
断髪式をする力士が現在のように土俵上の椅子に座るスタイルに移行したのは、昭和20年代の中頃からだったと思われます。
双葉山の大銀杏にハサミを入れていた羽黒山自身が1954(昭和29)年に断髪式を行ったときの写真を見ると、既に椅子に座っているのが確認できます。
なぜ断髪式をする力士の座り方は変わったの?断髪式をする力士の座り方が変わった理由については、相撲ファンたちの間でも
(1) 正座を長時間できる力士が少なくなった
(2) 断髪式でハサミを入れる人が全体的に多くなったことや、出席者の高齢化などもあり、引退力士が正座するより椅子に座る方が髷にハサミを入れる人がラクだから
など、様々な意見が出ています。
どれも一理ありますが、実際に力士が正座をしているときと椅子に座っているときの「髷にハサミを入れる人との頭の高さの差」を考えると、(2)が有力なのではないでしょうか。
確かに、正座している力士の髷にハサミを入れるにはより腰を曲げた前かがみの姿勢を取らなければならず、高齢の出席者の中にはつらい人もいるでしょう。
ちなみに土俵上は「女人禁制」のため、断髪式でハサミを入れるために土俵上に上がれるのは男性だけです。
しかし近年では、実母などの女性にハサミを入れてもらうために、力士が途中で土俵下や土俵に隣接されたステージへ移動する事例も見られるようになりました。
伝統に則って行われている断髪式も、時代とともに少しずつ変わっているのですね。
参考
・Wikipedia「断髪式」「双葉山」
(※facebookグループ「相撲史探訪」内の相撲ファンの声も一部参考にさせていただきました)
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan