あの伝説のキックボクサーが、落語家の弟子になっていた!?(後編) (2/5ページ)
すると小林家が正座していた足を伸ばし、着物の足元をがばっと開きながら「彼はまだ自分探ししてるんですかね?」と笑っていた。
どうやら小林家は見つかっているのかもしれない。
熱心なのはいいのだが、何かオカシイとこもある。
落語の登場人物も八っあん、熊さんではピンこないようで、全く人物が動かない。誰なら感情入れて喋ることが出来るかと話してみたら、どうやら「千葉ちゃん」だと話しやすいようだ。知り合いなのか誰なのかよくわからないが取り入れることにした。というわけでかなりの確率で彼の落語の中に「千葉ちゃん」が登場している。誰なんだろう……。
マクラ(噺の導入部にちょっとした小噺や体験談)を作る際、彼は実感タイプなので「身の回りの面白い友達とかヘンテコな人とかいるでしょう」と聞いても、「いないですねぇ」。
「思い出してみて」
「まぁ変な奴はいますけど、顔に傷があるとか、やたら金持ち逃げする人とか……そういえば僕同じ人に2回持ち逃げされましたよ」。
極端な話だ。
「じゃぁ、過去やったことある珍しい仕事は?」と尋ねると、道路の停止線などの白線を引く仕事をしたことがあるという。
「その時何かあったでしょ?思い出して」と聞くと、澄んだ目で「そうですね、何度も『止まれ』って書いてたら自分の成長が止まってしまいそうだったので、嫌になって、一度『止まるな』って書いたら凄い怒られましたね。それくらいです」。
怒られるのは当然だろう。そんな交差点あっても困るし。
なによりそのマクラ、十分面白いじゃないか。
なんて男だろう。語る側というか落語の登場人物側の人なのかもしれない。