長谷川博己『麒麟がくる』撮影中止も… もう一度見たい「NHK大河ドラマ」

日刊大衆

長谷川博己『麒麟がくる』撮影中止も… もう一度見たい「NHK大河ドラマ」

 昭和から平成、令和と59年間の長きにわたり幾多の感動を生んだ歴史絵巻。今だからこそ見るべき最高の作品は!?

 新型コロナ禍が有名武将の運命まで狂わせた!?

明智光秀の生涯を描くNHK大河ドラマ麒麟がくる』が、緊急事態宣言を受けて収録が中止に。6月に宣言が解除されても、撮影済みのストックは6月7日放送分の第21話まで。翌週の6月14日の放送には間に合わず、放送中断は避けられない事態となりました」(テレビ誌記者)

 民放各局が過去のドラマを再放送する中、孤軍奮闘していた大河ドラマまでコロナの犠牲になったわけだが、一方で、こんな声も。「日曜の早朝、テレビをつけたら、まだ初々しい真田広之が時代劇に登場していて、ビックリ。BSプレミアムでやっているNHK大河ドラマ『太平記』のアンコール放送だと分かり、毎週、録画を設定。これを見て『麒麟』の復活を待ちます」(55・会社員)

 そんな熱心なファンのいるNHK大河について、歴史研究家で自身も大ファンの跡部蛮氏が解説する。「大河は1963年にスタートし、来年が“還暦”、つまり60作目を迎えます。流行歌と同じで、それぞれ放送された年の視聴者の思い出とともに歩んでいるんです。過去の作品の名場面を思い出すと、当時の記憶もよみがえりますね」

 そこで今回、本誌は過去の作品をプレイバック。数々の名シーンを振り返るとともに、取り上げたい。過去に放送された全58作品から、40作を本誌読者と識者、編集部の意見を基に、ランキングにした。

■ベスト10を発表!

 第10位は第15作『花神』(77年/平均視聴率19.0%)。前後の作品の平均視聴率が25%前後だったので、低迷した作品と見る向きもあるが、跡部氏がフォローする。

「花神というのは花咲か爺のこと。周防の村医だった村田蔵六(のちの大村益次郎=四代目中村梅之助)が蘭学を武器に、日本の兵制に革命をもたらし、花を咲かせるまでの生涯を描いた大河にふさわしい作品。司馬遼太郎の同名小説の他、『世に棲む日日』の吉田松陰(篠田三郎)や高杉晋作(中村雅俊)、『峠』の河井継之助(高橋英樹)ら、司馬作品の主人公も配し、幕末の群像劇として楽しめます」

 9位は第18回の『獅子の時代』(80年/同21.0%)だ。会津藩の下級武士・平沼銑次(菅原文太)と、薩摩藩の郷土・苅谷嘉顕(加藤剛)の2人の主人公は架空の人物。山田太一の脚本も大河初のオリジナルで、新味を狙うNHKの意気込みがファンを唸らせた。大河ファンで知られる、タレントの松村邦洋氏も絶賛する。

「会津藩は戊辰戦争に負け、城に大砲が撃ち込まれ、ボロボロになります。明治維新を薩長ではなく敗者の視線を中心に描いた作品です。しかも初回には、パリの万国博が描かれて“大河に近代が持ち込まれた”と感動しました。明治を知るには、これがオススメです」

 8位の第14作『風と雲と虹と』(76年/同24.0%)の主役・平将門も加藤剛が演じた。これまで将門は「祟る怨霊」「天皇に謀叛した不届き者」という印象があったが、海音寺潮五郎の小説を原作にする本作で、その印象が覆った。「確かに将門は関東で新皇を名乗り、地方の役所を襲い、国印を奪っています。結果だけ見れば叛乱ですが、地方の豪族に担がれて謀叛人になった悲劇のヒーローとも言えます」(跡部氏)

 そして、今も語り草なのがラストシーンだ。合戦の最中、急に風向きが変わり、藤原秀郷が渾身の力で放った矢が将門のこめかみに突き刺さる。血が滴り、将門は落馬して絶命するのだ。

■『功名が辻』は舘ひろしが織田信長役

 7位の第45作『功名が辻』(06年/同20.9%)を推薦するのは、芸能レポーターの城下尊之氏だ。司馬遼太郎の同名小説を原作に、夫を土佐24万石の大名にした山内一豊の妻・千代(仲間由紀恵)の物語である。

「友人の舘ひろし織田信長役で起用され、それが最初で最後の大河出演だったので、彼の大河だったと勘違いしていました、ハハハ。彼いわく、言い回しや演技は全部、自分流でやった自負があるというんです。“そうじゃない、オレは尾張の人間(名古屋出身)だから、よく分かる、尾張はこうだよ”とね。信長にも学生時代から思い入れがあったらしく、もう好き放題にやらせてもらったと話していました」

 6位は山岡荘八の小説が原作の第21作『徳川家康』(83年/同31.2%)だ。松村氏が自身のベスト3の3番目に挙げた作品だ。

「僕はタイガースファンなので、反江戸。家康には狸のイメージがあり、さほど好きではなかったんです。ところが、滝田栄さんが演じる長身でダンディな家康を見て、家康への評価が変わってしまいました。“不自由を常と思えば不足なし”なんて狸が言うはずないと思っていたのが、家康という武将の本性だと知り、ボクの歴史観を変えてくれた作品です」(前出の松村氏)

 冨田勲の重厚なテーマ曲が、今も耳に残るというファンの声も多い。

 5位の第19作『おんな太閤記』(81年/同31.8%)は、原作と脚本を橋田壽賀子が手がけ、豊臣秀吉の妻・ねねの立場、つまり女性の視点で戦国時代を描いた。松村氏も、自身の歴代2位に挙げる名作だ。

「橋田さんは、あのメガヒット作『おしん』の脚本を書いた人ですからね。万人に受け入れられた大河です。ボクは緒形拳さんが演じた秀吉(65年の『太閤記』と78年の『黄金の日日』)に憧れていましたが、コミカルな西田敏行さんの秀吉に入り込みました」

 ただし、そんな秀吉も、主・織田信長にはかなわなかったのか。4位の第11作の『国盗り物語』(73年/同22.4%)から、そのことがうかがえる。本作もまた、司馬遼太郎の同名小説を原作にしている。天下制覇を夢見て野望半ばに倒れた斎藤道三(平幹二朗)の遺志を継ぐ織田信長(高橋英樹)と、明智光秀(近藤正臣)の2人を軸にストーリーが進む。登場人物が『麒麟がくる』と重なることもあり、話題性でも上位にランクされた。もちろん、この中で注目すべきは信長。その後の“時代劇スター高橋英樹”を生むキッカケとなった。最大の見せ場は、やはり本能寺の変。信長の正室・濃姫(松坂慶子)が薙刀を取って、信長とともに明智勢と戦うシーンは必見だ。

「このとき、濃姫は安土城にいたはずで、史実とは考えられません。しかし、そんなことは気にならないほど、当時20代前半だった“松坂濃姫”の凛々しさは際立っていました」(跡部氏)

■ベスト3は!?

 3位は第7作『天と地と』(69年/同25.0%)。川中島で死闘を繰り広げた高橋幸治演じる武田信玄と、石坂浩二が演じる上杉謙信が主人公だ。

「中学生でしたが、『天と地と』から歴史を学んだようなものです」(前出の城下氏)という声があるように、影響力の高さは群を抜く。馬の嘶きとともに川中島を覆う霧が晴れ、謙信が采配を振って「毘」の旗とともに武田勢へ斬り込むオープニング映像は、大河史上最高との呼び声もある。

 2位は、大河ドラマ歴代最高視聴率を誇る山岡荘八原作の第25作『独眼竜政宗』(87年/同39.7%)だ。「渡辺謙の事実上のデビュー作。30年たちますが、彼の俳優人生は、今も“独眼竜”といわれます」(城下氏)

 参陣の遅れを詫びる白装束の政宗が石垣山の豊臣秀吉(勝新太郎)の本陣を訪ねる2人の緊迫感あふれるやりとりは、大河史上屈指の名場面ともいわれる。また、幼少期の政宗が不動明王像を前に「梵天丸もかくありたい」というセリフは流行語になった。

 この視聴率トップを抑え、堂々の1位に輝いたのは、松村氏もベスト1に推薦する第17作『草燃える』(79年/同26.3%)だ。源頼朝の正妻・北条政子を、岩下志麻が熱演。政子の視点で、幕府の誕生という時代の変革期を描いた。

「ステイホーム中にこれを見ると、なんだか安心します。政子だけがいい人に描かれ、それ以外の人物はみんな悪者。政子の弟の北条義時(松平健)が食わせ者で、平家を倒したら魑魅魍魎の悪者になっていきます。鎌倉幕府は、平家から権力を奪った御家人たちの、アウトレイジ集団ですからね。悪者になって終わるという現実的な演出が、逆によかった」(松村氏)

 その義時は、執権政治の事実上の創始者である。22年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(三谷幸喜脚本)の主役として、視聴者の前に再び、お目見えすることになっている。

 ちなみに、NHK大河はNHKオンデマンドやU-NEXTなどで視聴が可能だ。ステイホームは、大河とともに乗り切りたい。

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