今さら聞けない「コロナ治療薬」、内科医が「感染〜重篤化」段階別に徹底解説 (2/3ページ)

Asagei Biz

用途が限定されているとはいえ、インフルエンザ薬として承認も得ていて、その原理から見れば治療効果が期待できますが、より厳格な検証が待たれます」

●イベルメクチン〈商品名:ストロメクトール〉

「15年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授が米企業と共同で開発した抗寄生虫薬です。抗ウイルス剤としての効果があることも判明していて、新型コロナウイルスにも効果的であることを示す研究が最近、いくつか明らかになりました。ただしこれも人体レベルの研究、より厳密な方法を採用し、治療効果を確認する必要があるでしょう」

③抗体の形成

 感染初期はIgM抗体と呼ばれるタンパク質が現れ、ウイルスを排除しようと対抗し、やがて消失。その後はIgG抗体というタンパク質が出現する。こちらは消えることなく体内に残り続け、再感染の際にもウイルスを中和することで、感染を防御する。

●免疫グロブリン製剤〈商品名:高度免疫グロブリン製剤〉

「こちらは現在開発中のもの。感染から完全回復した患者の血漿(血液から赤血球や白血球などを除いた成分)を採取、そこに含まれるウイルスを除去ないし不活性化する処理を経て精製される薬剤です。抗体の成分だけを凝縮するので、その効果は期待できます。ただし、抗体の質と量には注意が必要です」

④重症化

 抗体が暴走したり、ウイルスの増殖や破壊を果たせない状態。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と呼ばれる呼吸不全に陥ると、人工呼吸器などによる呼吸管理が必要となる。また播種性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こすこともあるが、この場合、全身の血管内に血栓が生じると同時にそれを溶かそうとする反応(線溶活性化)が起こり、臓器障害、出血多量、血圧低下に陥ることも。これらの致命的症状に効くものは─。

●トシリズマブ〈商品名:アクテムラ〉

「新型コロナウイルスの重症患者の場合、ヒトの体を守るための免疫機能が過剰に働くことがあり、炎症性のサイトカイン(免疫機能のある白血球から分泌されるタンパク質)が大量に生産されることをきっかけに、逆に重篤な肺炎などといった有害事象を引き起こしてしまうようなケースがあることが報告されています。

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