今さら聞けない「コロナ治療薬」、内科医が「感染〜重篤化」段階別に徹底解説 (1/3ページ)

Asagei Biz

薬イメージ
薬イメージ

 緊急事態宣言は解除されたが、新型コロナウイルスの第2波はいつ襲ってくるかわからない。今、最も求められているのは、決定的な特効薬である。現在候補に挙がる薬剤や取り組みは、どこまで効果が期待できるのか。呼吸器内科医として新型コロナウイルスに対峙する、埼玉みらいクリニック院長・岡本宗史医師に分析してもらった。岡本医師によると、感染〜重篤化までの状態は4段階に分けられるという。それぞれの段階で、どんな効果を期待して投薬や治療が行われるのか。

① ウイルスの侵入

 体内に入ったウイルスは自己増殖能力がないため、気道や肺の細胞の表面に存在するACE2と呼ばれるタンパク質に結合。細胞の表面にあるセリンプロテアーゼというタンパク質分解酵素によって結合部分が切り離され、ヒト細胞と融合することで「感染」が起こる。この段階で有効とされる薬がこれだ。

●ナファモスタット〈商品名:フサン〉

「ナファモスタットは、急性膵炎の治療薬として日本国内で長年使われてきた点滴薬ですが、実はセリンプロテアーゼ阻害剤。ウイルスとの融合を防ぐという点で、感染初期の段階では有効かもしれません」(岡本医師、以下同)

●シクレソニド〈商品名:オルベスコ〉

「喘息などの治療薬です。薬の成分がステロイドであり、吸入する形で用いられることから、吸入ステロイド薬と呼ばれることもあります。国立感染症研究所は、薬の作用について新型コロナウイルスの遺伝情報を担うRNA(遺伝子のメッセンジャー役の核酸)の複製(増殖)を阻害したとの見方を示しましたが、私は吸入ステロイドがACE2に作用している可能性を考えています。いずれにしても、今後の研究が待たれます」

②ウイルスの増殖

ヒト細胞と融合したウイルス細胞は、複製のための情報処理を担うRNAの合成を活発化させるRNAポリメラーゼと呼ばれる酵素を作り出し、ウイルスの複製を活発化させる。ここで有効とされているのは、

●ファビピラビル〈商品名:アビガン〉

「これはウイルスのRNAポリメラーゼの合成を阻害する抗ウイルス薬です。

「今さら聞けない「コロナ治療薬」、内科医が「感染〜重篤化」段階別に徹底解説」のページです。デイリーニュースオンラインは、ストロメクトールファビピラビルオルベスコシクレソニドフサン社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る