科学と非科学に優劣はあるのか?非科学を見下す風潮の正体とは? (1/3ページ)

心に残る家族葬

科学と非科学に優劣はあるのか?非科学を見下す風潮の正体とは?

天気の良い日の墓参りは気分の良いものである。青い空に白い雲がたなびき、心地よい風が吹く。墓石に水をかけ、元気な姿を見せて近況を話せば、在りし日の風景が甦る。科学的に言えば目の前にあるのはただの石であるが、私たちにとってはただの石ではない。大切な人が今も生きている場所である。そこには「非科学的」な世界が広がっている。

■優劣の構図で語られがちな科学と非科学

コロンビア大学の研究者が女性は男性より「おまじない」や「迷信」など、非科学的・魔法のような物事を信じる傾向があると指摘しているとの記事(gigazine 2020年06月18日配信)が掲載された。大学で女性は男性より非科学的なものを信じる傾向にあるという内容であった。

この場合の「非科学的」な領域とはこの記事でいえば、幽霊や魔法、迷信など、科学が否定するオカルト的な分野を指す。それはそれで興味深いテーマではあるが、筆者が問題としたいのはそのことでなく「非科学的」という表現である。

■科学的・非科学的とは

このニュースに対してネットでは、女性が男性より劣っているというような差別的な発言が目立っている。記事ではこの調査において「女性は男性より非科学的である傾向にある」という結果が出たというだけで、女性が男性より劣っていると書かれているわけではない。しかし現代社会において「非科学的」という表現は、科学ではないという端的な事実以外に、その対象(この場合は女性)のマイナス要因として認識される。また「科学的」とほぼ同義語に「論理的」がある。科学とは論理と実証の積み重ねであるからだ。昔から男性は論理的、女性は感情的などと言われてきた。このステレオタイプ的区別も明らかに女性への侮蔑が籠もっている。

「感情論」という言葉も良い意味で使われることはほとんどない。例えば死刑制度の賛否を問う論争では、被害者感情を理由に死刑を容認する主張に対して、感情論である、非論理的であるとの反論を受ける。論理的・科学的態度は絶対的正義であるかのようだ。ではそもそも「科学的」とは何なのか。

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