防御率トップ!DeNA平良の躍進に巨人が地団駄を踏んだ“スカウト裏事情”

Asagei Biz

原辰徳監督,ラミレス監督
原辰徳監督,ラミレス監督

 プロ7年目の今季、先発ローテーション入りを果たした横浜DeNAベイスターズの平良拳太郎投手が、7月5日のヤクルト戦で7回を無失点におさえ、一時、防御率トップに躍り出た。ここまで3試合に投げ、2勝目。低めを丁寧に突くピッチングが功を奏しているが、平良といえば、16−17年オフ、巨人に移籍した山口俊投手の人的補償でベイスターズに一本釣りされた経緯がある。

 リーグトップの完投数を誇った“エースの代役”として、当時は「釣り合わない」との辛辣な声もあったが、DeNAの選択が正しかったことが証明されつつある。

 しかし、その平良の喪失に古巣巨人がいまだに地団駄を踏んでいるという。

「巨人のドラフト指名での勝利を表す象徴的な投手でしたから」(球界関係者)

 平良は2013年ドラフト会議で5位指名を受け、巨人入りした。沖縄県・北山高校時代から「好投手がいる」と言われていたが、どの球団も「育成枠で…」とさほど高く評価はしていなかった。

 理由は簡単だ。同校の所在地で、平良の出身地でもある今帰仁村は、人口1万人以下。彼の力投で沖縄県大会のベスト8にも進出したこともあったが、対戦するのは無名校ばかりだったからだ。

「どの球団もそうですが、スカウトは地区別の担当制になっています。夏の甲子園予選前、各地の大会トーナメント表を見て勝敗を予想し、視察スケジュールを組みますが、どの球団も『平良君のいる北山高校は、初戦を突破する』と予想し、2戦目から視察するつもりでした」(当時を知る関係者)

 ところが、である。平良は延長戦の末、敗れてしまった。結果論かもしれないが、その最後の夏のピッチングを直接視察したのは巨人だけだった。

 ネット社会となり、ドラフト会議における隠し球はなくなったと言っていい。また、2019年から、1巡目は従来通りクジによる入札抽選が行われたが、2巡目以降はウェーバー制になったことも少なからず影響しているかもしれない。そのため、どの球団もスカウトの人員を減らそうとしている動きも見られ、巨人の直接視察は組織力と資金源の勝利とも言えなくはない。

「最後の夏を直接視察できたことで、育成ではなく、支配下で指名すると平良への評価を上方修正したんです」(前出・関係者)

 どの球団も指名候補の選手を視察している。高校3年生の夏の大会は最終確認にすぎないが……。無名校の地方大会の1回戦にスカウトを送り込めた巨人のリサーチ力は認めなければならないが、フリーエージェント移籍の人的補償に平良を選んだのも、DeNAの“眼力”の賜物である。下位指名選手の躍進には、さまざまなドラマがあるようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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