特効薬なしの進行性「ギャンブル依存症」から抜け出す唯一の道 (1/2ページ)

新刊JP

『やめられない ギャンブル地獄からの生還』(箒木蓬生著、集英社刊)
『やめられない ギャンブル地獄からの生還』(箒木蓬生著、集英社刊)

推定320万人。この数字は、日本国内のギャンブル依存症者の数だ。

パチンコ、スロット、競馬、競輪、競艇などに依存するギャンブル依存症は、社会の潜在的な問題だ。本人が社会的な信用を失うだけならまだいいとして、ギャンブルで作った借金が家族に回ってくることも。その額は数千万円、中には一億円を超える例もある。自身の財産のみならず、家族の貯金や年金、自宅がなくなっても、やめられないのがギャンブル依存。こんな最悪の状況から抜け出す方法はあるのか。

■特効薬なしの進行性「ギャンブル依存症」から立ち直る唯一の道

『やめられない ギャンブル地獄からの生還』(箒木蓬生著、集英社刊)では、精神科医の箒木蓬生氏が、ギャンブル依存の実態、その地獄から這い上がった実例を紹介。2010年に書き下ろし単行本として刊行されたものだが、文庫化に際してカジノの危険性など最新情報が大幅加筆された。

著者いわく、ギャンブル障害に効く薬はなし。さらに、家族の対応で何とかなるものでもない。しかも、自然治癒もなく、進行性。自力ではどうすることもできないのが依存症と考えると、恐怖も感じる。ただし、ギャンブル地獄から生還する方法は存在する。それは、週1回以上の自助グループへの参加と月1回の通院だという。

自助グループは、患者が複数集まり、お互い支え合う形式をとっているもの。ギャンブル症者は、見ザル、聞かザル、言わザルの「三ザル」状態になっている。自分の置かれた悲惨な状態や家族の苦しみを見ない。他人の忠告や助言を聞かない。自分の気持ちを言わない状態だ。

けれど、自助グループは、全員がギャンブル症者なので、初めて参加した者に対して、責められるどころか「よく来てくれた」と全員が大歓迎してくれる。そんな雰囲気の中で近況報告や「ギャンブルをやめて、どういう良いことがあったか」など、その日のテーマを順に話していく。

自助グループに参加したギャンブル症者の率直な自分自身の話を聞き、自分との類似性に気づき、自分もギャンブル症者であると自覚する。責められることもなく、討論をするわけでもないので、自然と話を聞くことになる。

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