脚に灼熱の痛みを感じた女性、中世に流行した「麦角菌病」と診断される (2/3ページ)
しかし、変色した脚が一部壊疽を起こしていたため、複数の足の指の切断を余儀なくされてしまった。
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・麦角菌病に罹っていたことが判明
医師は、この女性が「麦角菌病」を患っていたと診断した。
日本ではあまり聞き慣れないが、「麦角(ばっかく)菌」病は中世のヨーロッパでは西暦857年に遡って広く知られている病だ。
麦角菌とは、穀類を中心に感染する糸状菌(カビ菌)の一種で様々な種類があるが、中でもC.purpureaと呼ばれる種のそれは、ライ麦をはじめ小麦や大麦、エンバクなどの穀物に感染し、摂取した人に深刻な影響をもたらすことで知られている。
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中世ヨーロッパでは、麦角菌汚染されたライ麦パンによる麦角中毒が多く、聖アントニウスに祈ると治癒できると信じられてきたことから「聖アントニウスの火」または「聖なる火」の病などとも呼ばれていたという。
・女性の場合、変革中毒による症状だった
麦角菌は、麦角アルカロイドと呼ばれる物質をつくりだし、これが麦角中毒を引き起こすことによって、循環器系や神経系に対して様々な毒性を示すとされている。
女性が訴えたように、手足が燃えるような感覚となり血管収縮を引き起こす他、手足の壊死を発症。