全世界を巻き込んでの大規模な洪水が迫っていると科学者らが警鐘を鳴らす (1/3ページ)
洪水の危機が迫る
近い将来、沿岸地域のかなりの部分が洪水に襲われるようになるだろうと科学者が警鐘を鳴らしている。
護岸工事や堤防などで備えることもなく、さらに現在の地球温暖化をも放置してしまった場合、2100年までに沿岸地域の洪水は50%近く増えるだろうと、最新の研究は予測する。
・洪水の影響で経済的ダメージ
メルボルン大学(オーストラリア)をはじめとする研究グループによると、現在、海面から高さ10メートル未満の沿岸部には6億人が暮らしているという。
こうした地域は全世界でおよそ100兆円以上もの富を生み出している地域でもあり、洪水による環境的・社会経済的な被害はきわめて甚大である。
予測された中でも最悪のケースが現実のものとなれば、世界人口の4%にあたる2億8700万人が沿岸部の洪水によって影響を受ける。被害総額に換算するなら、世界GDPの2割にあたる1500兆円相当の資産が脅かされるとのことだ。
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・高潮や台風に起因する洪水の増加
こうした予測は、世界各地の沿岸部の研究に基づいたもので、それらを検潮器で得られたデータと照らし合わせて妥当性が検証された。
意外にも海面の上昇による被害は、全体の32%でしかない。それよりも洪水の大部分は、高潮や台風によってもたらされると予測されている。これらは温暖化によって規模が大きくなっているものだ。
ただし、予測モデルは地域なレベルでは決して正確ではなく、世界全体の観点から見たものであるという。