人間とアリが話す未来は遠くない…!? 「アリ先生」が語るアリ研究の最前線 (4/4ページ)
もちろん、解析のクオリティを上げないと、話しているという断定はできませんが、こんなに音を発しているのに何もコミュニケーションを取っていないはずがないと思います。
――全てのハキリアリがこういう風に鳴き交わしをしているのですか?
村上:ハキリアリの社会は進化段階によって様々で、シンプルなものから複雑で大きいものまであります。今あげたような15分で7000回鳴くようなアリがいる巣は複雑で大きくて、一方の巣が小さくて社会構造がシンプルなアリはほとんど鳴き交わしをしません。
つまり、社会の進化に合わせて、情報の共有度合いも複雑になるのだと思います。社会が複雑になると状況も多様になるので、情報伝達が匂いだけでは追いつかなくなる。アリ同士のおしゃべりの頻度が上がれば社会進化が進むのか、社会進化が進むことでおしゃべりが発生するかは分からないですけど、それは必要十分条件になるのかなと思います。
――ハキリアリ以外も音で情報を伝達しあったりするのでしょうか?
村上:しますが、こんなに頻繁に鳴き交わしをして、コミュニケーションを取っているのはなかなかないですね。
――本書で、将来的なアリと会話できる通訳機「アリリンガル」の可能性に触れられていましたが、わくわくしますね。
村上:アリが何をしゃべっているのか単純に興味がありますし、それが分かることによって、アリと交渉する日がやってくるかもしれない。私たちは隣の家の庭の草を刈ってもらう代わりに、アリが欲しているものを提供する。そこに交渉の余地があれば、人間とアリと共存共栄の可能性があるのではないかと思います。
化学物質だとアリを制御するしかできませんが、会話だと様々な余地が生まれますからね。
(後編に続く)