横浜流星・浜辺美波『わたどう』豪華キャストも困惑設定で爆死寸前!
なぜ今このテイストを……。ドラマ『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)がヘンだ。見ていると、タイムスリップした気分になり、ゾワゾワと落ち着かなくなる。スマホもパソコンもほとんど出てこない。キャストのほとんどが着物で、洋服のシーンが逆に違和感を覚えるぐらいだ。荷物は風呂敷だし。
内容はさらに昭和くさい。伝統への固執、タテ社会、嫁いびり、姑の色仕掛けなど、パワハラ・モラハラで訴えられそうな「昭和では普通にまかり通っていたけれど、現代では炎上・ヒンシュクな要素」をサクッとまとめたらこんな感じになるのかな、というドラマである。
ところが、その主演が浜辺美波(19)、横浜流星(23)という新時代を引っ張っていく2大スター。どんな気持ちで見ればいいの? どの世代に向けて作っているの!? と困惑しているが、結局見ている。時代錯誤のベタベタなメロドラマを、旬の俳優を使ってプライムタイムに放送する超実験を試みる日本テレビ! 確かにどうかしている。でも嫌いじゃない……。
ヒロインの浜辺美波の可憐さ、透明さは、原作マンガから飛び出してきたようだし、横浜流星も粋だ。『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(日本テレビ系)『あなたの番です』(日本テレビ系)と、復讐劇への出演が続く横浜。切れ長の目と、淡々としているが自然で滑舌の良い独特のセリフまわしが、良い緊張感を出している。
主演以外のキャストも、いちいち豪華だ。絵に描いたような嫁いびりをする観月ありさ(43)は、いきいきとヒール役を楽しんでいる感じが出ているし、いつ敵に転ぶかわからないポジションにいる高杉真宙(24)もウズウズする。品があるのに胡散くさい空気を漂わせる山崎育三郎(34)からも目が離せない。
■浮上のカギは大逆転
前クールに『M-愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)という強烈な作品があったので、多少のビックリ展開は受け入れられる自信はあるが、それでもこのドラマが世間的にどんな評価を得るかどうか、サッパリ予測ができない。第2話の平均視聴率は7.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)。ううむ、ものすごく微妙だ。
冒頭に「なぜ今」と書いたが、考えてみれば、今クール放送の『竜の道 二つの顔の復讐者』(フジテレビ系)も復讐劇。2つのドラマに共通する「強引にでも過去を清算する、そしてそこからの大逆転を目指す」というテーマが、奇しくもコロナ禍の私たちの目標と重なる。だからいっそ、見ているこちらの気分も奮い立つようなリベンジ劇を期待したい。(田中稲)