東京藝術大学の学生を中心としたアーティストユニットがWEB企画「MAPプロジェクト」を公開。複雑な社会問題をめぐる状況をありのままに可視化 (2/6ページ)

バリュープレス

そして住民や行政側、その他さまざまな関係者への取材・リサーチを重ねていくなかで見えてきたのは、ダム建設への賛成・反対といった二項対立では説明しきれない立場・環境に置かれて、複雑な思いを抱えている人々がいるということです。

WEB企画「MAPプロジェクト」は、そうしたさまざまな立場に置かれた人々が抱えるそれぞれの思いを、自らの思いを述べた文章とその人に見えている風景の写真を合わせて地図上に位置づけるものです。そうすることで、「石木ダム問題」をめぐる複雑な状況を、ありのまま可視化させることを目指します。また、人々の思いをそれぞれの視線によって切り取られた風景とともに見せることで、立場や環境による景色の見え方の違いもあらわにすることができると考えています。

2020年3月には、長崎県美術館の運河ギャラリーで「『soiのてはじめ』第一回滞在・取材報告展」を開催しました。こうばる地区の風景をそこで見つけた葉っぱに写真として現像した作品や、現地で暮らす人々にとっての日常を「何が心地よいか」という視点から切り取った写真作品、さらには現地に生える植物の意味を象徴的に表現した立体作品など、ダム問題の影で失われていく自然や人々の日常に対して思いを巡らせる作品を紹介。

住民の暮らしのリアル、そして石木に限らず日本各地のダム建設がはらむさまざまな側面を描写する多角的な展示としました。3日間という短い会期にも関わらず、約1,000名の方々にご来場いただき、9つのメディアにもご紹介いただきました。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、アートの世界ではオフラインでの展示が極めて難しい状況となっています。新しい作品を多くの方に見ていただく機会が減り、アーティストの存在意義を示せないでいます。しかし、そのような厳しい状況もポジティブにとらえ、オンラインの強みを生かし、新しいプラットフォーム・作品として今回の「MAPプロジェクト」を公開することとしました。

通常のオンライン展示の多くは実際の展示会場をスキャンして3Dで公開するもの、あるいは展示の機会を失った作品の展示の場所としてWEBを利用するものです。それに対して「MAPプロジェクト」は、オンラインの強みを生かして、WEBならではのこだわり、新たな可能性を試みました。

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