「菅総理誕生」で期待高まるスガノミクス銘柄、狙い目はジビエ関連にあり!?
「ポスト安倍」で以前は「まさかの候補」にすぎなかった菅義偉・官房長官が、他の2候補に先駆けて自民党総裁選に出馬の意向を明らかにした。その時点で、自民党総裁選は“出来レース”との見方が広まり、すでにマーケットでは「菅総理誕生」を織り込んで「スガノミクス銘柄はどれか」という話題にシフトしている。
「一番熱いのが、菅さんが総裁選立候補の会見で個別業界としてやり玉に上げた、携帯電話の値下げと地銀の再編に関する銘柄でしょう。携帯電話の値下げは菅さんマターとしてこれまでもこだわってきた経緯がありますし、同じように個別の政策については言動一致を旨とする菅さんですから、地銀の再編も早期に動くはず。直接の当該企業は戦々恐々でしょうが、マーケットでは連想ゲームで上がる銘柄・下がる銘柄捜しが必死で行われています」(経済ジャーナリスト)
他にも、菅氏の過去の発言や肝いり政策からスガノミクス銘柄捜しが行われていて、「ふるさと納税」、「マイナンバー」、「GoToキャンペーン」、「オンライン診療」などの分野に、マーケットだけではなく業界関係者の間で注目が集まっている。どういった分野で変化が起こりそうかについては、菅氏のブログを見れば会見での発言も含めた基本政策がまとめられているので、それで確認することができる。
そんな中、上記のような「大文字」の政策の中、地味だが、地味だからこそ人目を惹く形でそっと述べられていることでにわかに注目されているのが、「ジビエ」だ。
政策集の「地方創生」の項目の以下には、文章を差しはさむようにこう綴られている。
「昨年地方の地価が27年ぶりに上昇に転じました。鳥獣被害対策と所得向上のため、ジビエの活用を支援しました」
政治部記者が解説する。
「ポスト安倍レースで菅さんの名前が急浮上してきたのが、コロナ感染の第一波が高まって政府の対応が揺れた時です。首相決断の一斉休校の要請がなされた時に菅さんに一切の相談がなかったことで、官邸での露骨な『菅外し』が言われました。それ以後、党の実力者である二階・幹事長と菅さんの距離が近づき、巻き返しが行われて今に至るというのがこれまでの経緯」
これに先駆け、すでにジビエでも二階氏と菅氏の距離は縮まっていて、1月29日に開かれた「鳥獣捕獲緊急対策議連」の集まりでは2人揃って登場、二階氏が鹿肉カレーを「最高だ」と言って頬張ったかと思えば、菅氏は「農作物の鳥獣被害をなくす上でジビエが重要」と語っていた。ジビエが意外にも縁のとり持ち役だったかもしれない。
選挙区は神奈川県だが、秋田県の農家出身の菅氏は農業への理解が深い。ジビエの旗振り役で、政府会議の議長なども務める。
ここ数年、静かなブームが続いていたジビエも補助金頼みの実情が露呈しつつあるが、だからこそその剛腕への期待も高かろう。
(猫間滋)