翼を広げると7メートルもある巨鳥から巨大ペンギンまで、かつて実在した10種の怪鳥たち

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翼を広げると7メートルもある巨鳥から巨大ペンギンまで、かつて実在した10種の怪鳥たち
翼を広げると7メートルもある巨鳥から巨大ペンギンまで、かつて実在した10種の怪鳥たち

かつて実在した怪鳥たち/iStock

 鳥のイメージといえば、ちゅんちゅんとさえずる可愛らしい姿だろうか? それとも猛禽の鋭く凛々しい姿だろうか?

 だが忘れてはいけないのは、彼らが恐竜の子孫だということだ。ノコギリのようなクチバシで魚を狩ったり、小型の馬を捕食したり、あるいは翼長7メートルという大きな翼で空を舞ったり。

 そんな怪物のような鳥がかつては存在したのである。
 ここでは残念ながら、すでに絶滅してしまった先史時代の怪鳥たちを紹介しよう。
・ケレンケン・ギレルモイ(Kelenken guillermoi)


Super Depredadores Prehistoricos"Aves del Terror" El Kelenken y el Titanis.

 1500万年前、鳥でありながら南米大陸の生態系の頂点に君臨していたこの恐鳥類は、テウェルチェ族に伝わる悪魔ケレンケンにちなむ名を冠している。背丈は3メートルに達し、その頭部は長さ70センチと鳥類の中では史上最大の大きさ。巨大なクチバシは、現代のタカでさえ可愛く見えてしまうほどだ。

 化石が発見されたのはアルゼンチン。飛ぶことはできなかったが、フォルスラコス科最速の脚力で俊敏に走り回り、大型の肉食動物として獲物を捕獲したほか、死肉も貪ったのではないかと考えられている。


・9. ティタニス・ワレリ(Titanis walleri)


Titanis: The Terror Bird

 こちらもフォルスラコス科で、490万~180万年前の北アメリカ大陸に生息した。背丈は2.5メートル、体重は150キロに達したと推定されており、ギリシャ神話の巨人タイタンにちなんで名付けられた。そのクチバシはショベルカーに取り付けられたクラッシャーのようだ。

 北アメリカに生息した唯一の恐鳥類で、化石はフロリダ州サンタフェ川で発見された。さまざまな哺乳類を捕食したと考えられている。獲物になった動物はおそらく巨大なクチバシで突かれたり、荒々しく振り回されたりして殺されたのだろう。絶対にごめん被りたい死に方の1つだ。

 なおティタニス属は、最後まで生存した恐鳥類だったが、1万5000年前の最終氷期に絶滅したとされている。


・8. ペラゴルニス・サンデルシ(Pelagornis sandersi)


How the Largest Flying Bird of All Time Stayed Airborne

 飛べる鳥としては史上最大で、翼を広げると6メートルから7.4メートルもあった。2500万年前には、小型飛行機のような鳥が空を飛んでいたのだ。

 化石は1983年、米サウスカロライナ州チャールストン国際空港の新ターミナル建設現場で発見された。その名は「サンダースの海鳥」の意で、発掘を指揮したアルバート・サンダースにちなんでいる。

 クチバシには歯のようなギザギザがあり、この点は現生のアイサに似ている。歯はクチバシから伸びた骨質の突起で、薄い膜に覆われていた可能性もある。これで魚などに喰いついていたようだ。


・7. クロスヴァリア・ワイパレンシス(Crossvallia waiparensis)


Human-sized penguin remains discovered in North Canterbury

 キュートな姿で大人気のペンギンだが、6600万~5600万年前の南極に生息していたこいつをキュートと思うかは、見る人の感性に左右されるだろう。2019年にニュージーランドで化石が発見されたクロスヴァリア・ワイパレンシスは背丈が160センチ、体重は7、80キロあったのだ。体格のいい成人女性くらいのサイズだった。

 怪鳥モアや史上最大の猛禽類ハーストイーグルと同時代の種。今は小さくて可愛らしいペンギンだが、もともとかなりの体格で、徐々に小さく進化したことを示す証拠とされている。




・6. アイオロルニス・インクレディビリス(Aiolornis incredibilis)

 初期鮮新世から後期更新世(約500万~1万1700年前)にアメリカの大空を舞っていた、飛べる鳥としては最大級の鳥。翼長5メートルという巨大な翼で、20キロを超える体を舞い上がらせた。(画像はこちらから)

 巨大なコンドルのような鳥で、大型哺乳類の死肉を主なエサとしていたが、生きている小さな動物も食べたようだ。伝説に登場する巨大鳥を彷彿とさせる大きく鋭いクチバシは、毛皮を引き裂くのに都合がいい形状をしている。


・5. レプトプティロス・ロブスタス(Leptoptilos robustus)

robustus
image by:public domain/wikimedia

 インドネシア、フローレス島で発見されたコウノトリの仲間なのだが、体重16キロ、体長1.8メートルもあった巨大コウノトリだ。生息していたのは250万~1万1000年前で、体が小さく”ホビット”と呼ばれることもあるフローレス人(ホモ・フローレシエンシス)と同時代に生きた。

 フローレス人は身長1メートルほどの小柄なヒト属だ。そんな人たちにとって、見上げるほど大きさで、しかも肉食のコウノトリはさぞ恐ろしかったことだろう。実際、レプトプティロスは子供のフローレス人なら十分に捕食できるほど大きかったと考えられている。


・4. ハーストイーグル(Harpagornis moorei)


The Haast's Eagle: The Man Hunting Eagle

 マオリ族の神話に登場する巨鳥「ポウカイ」のモデルだとされている。学名は、この鳥を分類したドイツの地質学者ユリウス・フォン・ハーストと化石が発見された土地の所有者の名にちなむ。

 史上最大級の猛禽類だったが、その祖先はもっと小型のヒメクマタカで、進化によって体重が10~15倍にも増えたと考えられている。これは既知の脊椎動物としては、進化によってもっとも体重が増えた例だ。

 滑空しながらクチバシで獲物の内臓付近を切り裂き、失血死させるのが狩猟のスタイル。その攻撃力は26メートルの高さから落としたコンクリートブロックに比較され、自分の体重の10倍もある巨鳥モアを捕食したという説もある。まさに空のライオンのような存在だったが、人間の乱獲が原因で絶滅した。


・3. ドロモルニス・スティルトニ(Dromornis stirtoni)


Dromornis || Massive 10 Feet High ''Chicken'' of Australia

 800万~3万年前に生息したオーストラリアの巨鳥で、「スタートンの雷鳥」や「悪魔のアヒル」と呼ばれることもある。身長は3メートルあり、現生のカンガルーですら小さく見えるほど。

 体重は650キロに達し、筋肉隆々のがっしりとした体型をしているが、翼は小さく退化し、飛ぶことはできなかったとされる。代わりに、脚とクチバシが発達しているが、何をエサとしていたかはっきりせず、肉食説も草食説もある。


・2. ヘスペロルニス(Hesperornis)


TRILOGY OF LIFE - Sea Monsters - "Hesperornis"

 見た目はウやアビに似ているが、翼は退化しており、その代わりに体長が180センチもあり、クチバシにはギザギザした歯が並ぶ――これがヘスペロルニスだ。その名は「西の鳥」という意味だが、北アメリカやアジアの海の近くで暮らしていたとされる。

 飛べない代わりに、海に潜って魚やアンモナイトを捕獲することができた。同じく翼を退化させたペンギンの場合、翼が変化したフリッパーで泳ぐが、ヘスペロルニスは水かきがついた後ろ足で泳いだ。

 長いクチバシに並ぶノコギリのような歯は、現在の鳥類とは決定的に異なる点で、魚を捕食する際に役に立った。海の中では巧みな捕食者だったかもしれないが、陸上ではほとんど歩くこともできなかったようだ。K-Pg境界(6550万年前)に起きた大量絶滅で姿を消した。


・1. ガストルニス・ギガンテア(Gastornis gigantea)


TRILOGY OF LIFE - Walking with Beasts - "Gastornis"

 中国、イギリス、ベルギー、フランス、ドイツ、アメリカで発掘された背丈が2メートルに達する巨大な鳥。暁新世から始新世(6600万~3390万年前)に生息。以前は「ディアトリマ属」に分類されていた。

 飛ぶことはできないのだが、ヒラコテリウム(初期のウマ)などを捕食する史上最強の鳥類とみなされていたこともあった。実際には、その脚は高速で走って狩りをするには向いておらず、現在では植物の硬い部分や種を食べていたと考えられている。

 だからといって、こんな巨大な姿の鳥に遭遇してしまったら、恐ろしいどころではないだろう。

追記(2020/09/21)本文を一部修正して再送します。
References:10 Horrific Extinct Monster Birds - Toptenz.net/ written by hiroching / edited by parumo
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