コロナ禍でも行ける「海外」とは? 自粛生活にうんざりした筋金入りのバックパッカーが、家を飛び出して出かけた先は意外な場所だった! (2/4ページ)

日刊大衆

思い思いの場所にテントを張り、磯遊びをする家族連れが見える。そこからハイキングコースを歩いていくと、神奈川県の最南端の岬に突き当たる。

 目の前には東京湾が広がる。その対岸に、かすかに見える陸地。千葉県だ。かつての安房国である。だからここは安房埼と呼ばれているのだ。こういう端っこ、境界線に来るとやはり昂る。とはいえ、目的地はここではない。僕は橋を渡って本土へと戻り、三崎漁港へと向かった。

三崎や城ヶ島に来たらマグロは外せない。観光需要にわずかながら貢献する

ついに念願の海外に到着

 本来なら観光客でごった返しているのだろう。三崎漁港に並ぶ海鮮のレストランや土産物屋にもお客はまばらだ。閉めている店も目立つ。

 そんな界隈を抜けて、僕は西海岸線通りを歩く。すぐに観光地の装いとも無縁な、素朴な漁港が見えてくる。

 陸地に入り組んだ小さな湾のまわりに、やはり小さな漁船が20隻くらいだろうか。どれも係留されており、人の姿はない。蝉の声だけが降ってくる。漁港を囲むようにささやかな住宅街が広がり、その背後には小高い山が迫る。とにかく静かだった。

 ここが「海外」なのである。

 正しくは神奈川県三浦市海外町。「かいと」と読む。ちゃあんと「海外」のバス停だってある。地域の集会所は「海外会館」だ。いわば「珍地名」として知られているのだ。

 が、せっかく「海外旅行」に来たものの、これで見るものは以上終わりなのであった。あとは珍しい地層が露出している場所があるとかで地質マニアにはたまらないかもしれないが、シロウトにはやや難易度が高い。

 もう少し歩いてみようと、漁港を回りこむように山のほうに伸びていく道をたどる。新興住宅地といった様子だ。高台からは海がよく見える。やはりひたすらに静かで、東京とは別世界のようだった。どこからか風鈴の涼やかな音が聞こえた。

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