運動器具がいらない「自重トレーニング」のやり方

マイナビウーマン

運動器具がいらない「自重トレーニング」のやり方
運動器具がいらない「自重トレーニング」のやり方

体を引き締めるにはジムに通って器具を使わないと無理? そんなことはありません。自宅でも体を引き締めていくことは十分可能です。

女性はダンベルなどの器具を使うよりも自重(自分の体重)を利用した方が、しなやかなボディラインを作りやすいとされています。また、運動経験が少ない方も比較的負荷の小さい自重トレーニングから取り組むことで、怪我なく効率的に鍛えていけるのです。

今回は「自重トレーニング」とは何なのか、効果や方法をお伝えしていきます。

■自重トレーニングとは?

まずは、自重トレーニングとは何かについて知っていきましょう。

◇自分の体重で負荷をかける「自重トレーニング」

自重トレーニングとは、自分の体重を利用するトレーニング方法です。ダンベルや運動器具の重りは利用しません。

例としては、仰向けで上体を持ち上げる「クランチ」や、うつ伏せになり肘とつま先で体を支える「プランク」、立って脚を屈伸する「スクワット」などの運動があります。

器具の重りを使う運動よりも負荷が小さいため、初心者や女性でも取り組みやすいトレーニングです。

■自重トレーニングの効果とメリット

自重トレーニングには、具体的にどのような効果やメリットがあるのでしょうか。

◇期待できる効果

まずは、運動器具を使うトレーニングと比べながら、自重トレーニングによって期待できる効果と、どんな人へおすすめなのかについて紹介していきます。

☆(1)怪我や障がい予防・バランスよく筋肉がつく

自重トレーニングは怪我や障がい予防の効果が期待できます。

怪我や障がいにつながる原因の1つとして、インナーマッスルとアウターマッスルの両者をバランスよく使えていないことが挙げられます。

アウターマッスルとは体表にあり、瞬発力やパワーに強い筋肉です。インナーマッスルとは深層にあり、関節を守り姿勢を保つ、持久力に強い筋肉です。

自重でゆっくりした運動を通して、感覚に意識を向け、動き方の癖をコントロールしやすくなります。このような動きのコントロールを意識的に行うトレーニングはインナーマッスルとアウターマッスルを協調して働かせる可能性があり、米国内科学会の最新の腰痛ガイドラインでも推奨されるエクササイズとして挙げられています。

また、負荷の大きい運動器具を使ったトレーニングは、運動初心者や筋力の弱い女性の場合、誤ったフォームになりやすい傾向にあります。誤ったフォームで繰り返しトレーニングを行うと、関節を痛めるきっかけになりかねません。

まずは自重トレーニングで怪我や障がいを予防し、バランスよく筋肉を鍛えていきたいという方におすすめです。

☆(2)パーツよりも全身を引き締める

運動器具を使うトレーニングは、胸・腕・お尻などをパーツごとに鍛え、表面の筋肉を大きくするため、筋肉のシルエットが現れやすいといえます。

一方、自重トレーニングでは全身の筋肉を同時に鍛えます。運動器具を使うトレーニングより負荷は小さいため、表面の筋肉のシルエットが現れにくい反面、深層の筋肉を鍛えやすく、内側から体を引き締める効果が期待できます。

そのため、部分的ではなく全身を引き締めたいという人にもおすすめです。

☆(3)日常の動きで疲れにくくなる

日常の動きにつながりやすいのが自重トレーニングです。

なぜなら、自重トレーニングの動きは日常の動きに似た運動が多いからです。

例えば立って両手を上げたり後ろへ引いたりする自重トレーニングでは洗濯物を干す時の動きに似ています。スクワットは椅子に座る時の動きに似ています。腹筋運動(クランチ)はベッドから起き上がる時の動きに似ています。

このような日常の動きに似た運動で鍛えることによって、日々の生活で使う筋肉が鍛えられ、楽に動きやすくなります。

◇自重トレーニングのメリット

自重トレーニングのメリットは3つあります。

☆(1)運動器具や道具は不要

運動器具や道具を準備するとなると、お金がかかったり場所をとったり、加えて手間がかかりますよね。でも自重トレーニングは運動器具や道具が必要ありません。

お金をかけず、場所をとらず、すぐに始められます。

☆(2)いつでもどこでもできる

自分の体さえあればいつでもどこでもできます。トレーニング方法を覚えてしまえばジムに行く必要もありません。ジムの時間にとらわれることもありません。

ジムに行く準備や着替えの手間を考えると時間短縮にもなります。自宅でのトレーニングはもちろんのこと、例えば旅行先、出張先でも手軽に行えます。

☆(3)比較的安全

ダンベルやバーベルなど重りを使う運動は器具の使い方を誤ると怪我の危険性があります。それに比べると自重トレーニングは比較的安全に行えます。

ただし、どのトレーニングも無理に体を動かすことによる怪我はつきものです。事前にストレッチをする、痛みのある動きは行わないなどトレーニングのコツを押さえて安全に行いましょう。

■初心者や女性におすすめのトレーニング方法

初めから負荷の大きい運動を行うと怪我につながりやすいだけでなく、筋肉がバランス悪くついてしまう原因となります。

ここでは、自宅でのトレーニングに不慣れな方や筋力に自信のない女性向けに、小さい負荷で難易度低めの自重トレーニングを部位別にご紹介します。

◇腕に効く自重トレーニング

二の腕を引き締める運動です。上腕三頭筋という腕の真後ろ(背中側)の筋肉を意識して鍛えてみましょう。

1. うつ伏せになり、両手のひらを肩の真下へ置く。

2. 息を吸って準備、吐きながら両手で床を押し、ゆっくり上体を持ち上げていく。

3. 肘が伸びきる手前で止まる。息を吸って次の動作の準備に入る。

※この時、肘を伸ばしきって首が短くなり、脱力しないように注意。手のひら、特に小指の肉球でプッシュして肘を伸ばしきらないことで上腕三頭筋に力が入りやすくなる。

4. 息を吐きながらまたゆっくり上体を下ろしていく。1セット10回を目安に、1日約2~3セット行う。写真のピンク部分が上腕三頭筋の部位です。鍛える部位に力を入れる意識で行う。

※この時、腕を内側へねじっている(内旋)と、肩甲骨をずれた位置で使ってしまう癖がつきやすくなるので注意。肘が真後ろへ曲がっていくよう、腕は外側へねじる(外旋)力を入れたまま下りていく。

◇おなかに効く自重トレーニング

続いて、下腹を引き締める運動です。腹筋は運動によって上部・中部・下部と効きやすい部位が分かれるため、ここでは下部腹筋を意識して鍛えてみましょう。

1. 両膝を立てて仰向けになる。

2. 両脚をゆっくり持ち上げ、股関節と膝が大体90度になる位置で止まる。

※この時、内股にならないように注意。膝と内くるぶしの間はこぶし1つ幅開ける(この幅を保つ意識だけでも内ももに効きやすくなるため)。

3. 息を吸って準備に入り、吐きながらゆっくり両脚を下げていく。

※この時、腰を反りすぎないように注意(腰を痛めやすくなるため)。腰と床の間は手のひら1枚入るか入らないかの隙間を保ったまま両脚を下ろしていく。

4. スタートポジションに戻り、再び息を吐きながらゆっくり両脚を持ち上げていく。息を吐くタイミングで下腹をへこませる力を入れると、さらに腹筋に力が入りやすくなる。1セット10回を目安に、1日約2~3セット行う。

◇背中に効く自重トレーニング

背中を引き締める運動です。背筋の中でも特に肩甲骨の下側の背筋を意識して鍛えてみましょう。

1. うつ伏せになり、小指を天井側に向けて両腕を床から体側の位置まで持ち上げる。

2. 息を吸って準備、吐きながらあばら骨の下までゆっくり上体を持ち上げる。その状態で吐く息を長く10秒間キープ。息を吸ってまた準備に入り、吐きながらゆっくり上体を下ろしていく。1セット5回を目安に、1日約2~3セット行う。

※この時、腰よりも肩甲骨の下側に力が入るよう意識。顎があがり、腕が内側にねじれている(内旋)と腰に力が入りやすくなってしまうため、顎は引いて腕は根元から外へねじりながら行う。

◇脚に効く自重トレーニング

最後に紹介するのは、脚を引き締める運動です。特に太もも前側に効きますが、お尻の横や内もも、足裏の筋肉を意識して鍛えてみましょう。

1. つま先を斜め45度外側へ傾けて、ワイドベースに(足を広げて)立つ。両手は骨盤を触れておく。

2. 息を吸って準備、吐きながらゆっくり下降する。

※この時、膝はつま先の方向へ曲がるように意識(膝が内側へ入ると痛める原因になるため)。足裏の小指側へ体重をかけ、太ももの根元から外へ回す(外旋)イメージでお尻横や内ももにも力を入れる。

3. 息を吸って準備、吐きながらゆっくり上昇する。1セット20回を目安に、1日約2~3セット行う。

■自重トレーニングQ&A

自重トレーニングの方法は分かっても、日常の中で続けていくのは意外と難しいものですよね。では、どうすれば続けられるのでしょう。効果の実感があると楽しく続けられませんか?

ここでは、どれくらいの期間行うと効果を得やすいかの目安や、実際に行う時におすすめの時間帯などについて説明します。

できるだけ効率良く時間を使えて、続けられるようにコツをつかんでいきましょう。

◇効果を得るための継続期間は2カ月

筋力トレーニングは一般的に、適切な負荷量で週3日以上行うことが筋力アップに効果的といわれています。適切な負荷量とは、「もうこれ以上力を入れられない状態」を100%とすると、60%以上の強度のことです。

ここで重要なのは、「続けること」です。一時的に行うだけでは筋力が定着しにくいのです。その理由をご説明します。

筋力アップには大きく分けて2種類あり、神経系による筋力アップと筋肥大による筋力アップがあります。

前者は筋肉を制御する神経系が活性化して筋力がアップします。トレーニング初期の筋力アップはこれによるものです。

対して後者は筋線維が肥大して筋力がアップします。筋肥大は、トレーニング初期はほぼ変化がなく、トレーニングを約2カ月続けてようやく肥大し始めます。トレーニングの継続が重要な理由はこのためです。

したがって、最低でも週3日、約2カ月は続けてみましょう。

体を引き締めるには、筋肉のエネルギー消費量をアップさせ、筋肉量を増やす必要があります。筋肥大や神経系による筋力アップはそれらに貢献し、結果的に脂肪も消費されやすくなります。

女性は男性よりも脂肪がつきやすいです。すぐにトレーニングの効果が出ずに焦ってしまうかもしれませんが、継続すれば着実に変化が現れてきます。焦らずコツコツと続けてみましょう。

◇トレーニング時間は朝・昼・夕方いつでもOK

トレーニングは、朝・昼・夕方いつでもOKです。

2019年にビクトリア大学で行われた研究によると、朝夕のトレーニングで筋力アップや筋肥大の程度に差はないと結果が出ています。したがって、自分が続けられるにはどの時間帯が合っているのか、を最優先に考えてみましょう。

また、食前は低血糖になりやすいため食事から約1時間後がおすすめです。無理なく続けられ、自分のライフスタイルに最適な時間帯を見つけてみましょう。

女性は生理周期によって運動のやる気が出ない時や体の不調もあると思います。その場合は無理せずにストレッチなどの軽い運動をするなど体調に合わせて体を動かしましょう。

自重トレーニングでバランスのいい体へ

初めての方や筋力に自信のない方でも自宅で簡単にできる自重トレーニング方法をお伝えしました。

自重トレーニングはバランスよく体を鍛えるのに十分な運動です。

できるだけ正しいフォーム、コツを押さえて効果的に体を引き締めていきましょう。結果的に怪我の予防になり、日常でも疲れにくくなります。

自宅でも楽しくトレーニングをして、バランスのいい体を目指してくださいね。

(撮影・文:Hiromi)

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