元七冠・羽生善治“レジェンド復活”を支えたAI研究と体幹トレーニング (3/3ページ)

Asagei Biz

長時間の正座からくる職業病で膝や腰を痛める棋士は多いのですが、羽生さんの場合は重症で、公の場でも足を引きずるシーンが見受けられるほどでした」(観戦記者)

「盤上の格闘技」と呼ばれる将棋は知力だけでなく体力も重要で、

「体調が万全に越したことはありません。不調があると力を十分に発揮できない場合があるので、年齢を重ねた棋士は体のメンテナンスが必要になります」(森内九段)

 文字どおり足枷をハメられた羽生もご多分に漏れず、体のメンテナンスに留意し精を出しており、

「昨年から元サッカー選手のトレーナーのもとに通って肩甲骨や体幹トレーニングの指導を受けています。歩くことはもちろん、正座も苦にならない程度まで回復したそうです」(観戦記者)

 将棋界における立ち位置の変化も、羽生のコンディションにいい影響を及ぼしていた。将棋ライターがその近況を明かす。

「『羽生フィーバー』から二十数年間まとまった休みがありませんでした。対局数の多さもさることながら、イベントの講演や取材、本やゲームの監修まで、将棋界の広告塔として1人でこなしてきた。最近は若い棋士のメディア露出が増えて、羽生九段に集中していた仕事が分散されました。コロナ禍のステイホームも相まって、家族と過ごす時間や独りでリラックスする時間も増えたようです」

 対照的に初戴冠の式典や取材などのハードスケジュールをこなす藤井は“親離れ”が進んできた様子で、

「これまでは師匠の杉本昌隆八段(51)がメディア対応をフォローしてきた部分が大きかったけど、タイトル獲得後のイベントや取材は通過儀礼として独り立ちさせようと、見守ることに徹しています。藤井フィーバーの熱を冷ましたくない将棋連盟やスポンサー企業が、藤井を前面に出してブームを引っ張りたい思惑がある。愛知県在住の高校生には酷なスケジュールを嫌な顔せずにこなす姿に、大人たちは頭が上がりませんよ」(将棋ライター)

 新世代の天才といえども与えられる時間は平等。次回の対局相手を研究する時間を捻出するのも、ひと苦労だろう。

「新聞やネットメディアのインタビューで、趣味とAI研究を兼ねて『ハイスペックPC』を自作していると明かしています。頭脳部分にあたるCPUには50万円の費用をかけて、AI搭載の将棋ソフトの計算に特化された仕様にした。高性能パーツの発売が待ち遠しいようです」(将棋ライター)

 さて、羽生との開幕戦で黒星を喫し、三つ目の戴冠に黄色信号が灯った「王将挑戦者決定リーグ」だが、気落ちするのはまだ早い。

「タイトルホルダーもしくは経験者ばかりのハイレベルな戦いが続きます。星の潰し合いになる展開が予想されるので、2敗くらいまでは挑戦ラインでしょう」(屋敷九段)

 次回、10月7日の対局では過去に5戦全敗の豊島二冠が立ちはだかる。羽生との敗戦を糧に、捲土重来となるか。「天才少年」の真価が問われる一戦となりそうだ。

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