どうして法律は「~してはいけない」と書かないの?中世の武士と現代人で大きく違うその理由 (2/3ページ)
もちろん、そういう人は仮にダメだと言ったところで犯行に及んでしまうものですが、そもそも殺人は基本的に悪いことであり、行為自体を禁じた方がよさそうなものです。
恐らく「自分の行動は自分の意思で決めるべきであり、それを法律で禁じるなんてよくない」という人権思想の結果、「どんなことも禁止はしないよ。でも、社会にとって不都合な行為に対してはペナルティを課すからね」という法理念が生まれたのでしょう。
一方、中世の武士たちはいたってシンプルです。
「時トシテ何(いか)ニ腹立事アリトモ、人ヲ殺害スヘカラス(すべからず)」
※北条重時『六波羅殿御家訓』より。
法律ではありませんが「いいからどんなに腹が立っても、人を殺してはダメなんだ!」という問答無用っぷりです。現代人にしてみれば「(人を殺してはダメなんて)そんな事は当たり前だ」と言いたくなるでしょうが、当時はよほど殺人が多かったのでしょう。
諍(いさか)いあれば斬りかかり、侮辱されれば斬りかかり、気に入らなければ斬りかかり……何なら酒に酔っても斬りかかるというアウトローっぷりは、そのエピソードに事欠きません。