「増田大輝の登板は邪道にあらず」阿部慎之助が名参謀に明かした「王道野球」 (2/3ページ)

Asagei Biz

「イースタン・リーグでの順位こそ3位ですが、2軍の指導者の最大目的は、下で勝つことではなく、1軍で通用する選手を送り出すことです。慎之助も、監督初年度にして理想形の指導をしていると思います。こういういいサイクルが成立しているのは、1軍と2軍の風通しのよさによるところが大きい。球界では普通、2軍から上がってきた選手の評価や情報をそのまま信用したり、(下からの)何かしらの提言を採用することって、実はあんまりないんですよ。もちろん、選手本人の頑張りが第一ですが、原監督と慎之助の強固な信頼関係なしには、今シーズンの巨人を語れないと思いますね」

 それでは、原監督から阿部2軍監督に継承される「独走頭脳」に秘められた野球論とはいかなるものなのか。橋上氏が巨人コーチ時代にかけられた、こんな言葉が一つのヒントになるかもしれない。

「私が原監督に、ある作戦を進言した時のことです。それは対戦成績のよくなかった投手を相手にした、奇襲と呼ばれるような作戦でした。しかし『橋上、ここはジャイアンツだから』と一蹴されたんです。つまり、ジャイアンツはがっぷり四つに組んだ『横綱相撲』をするチームだと。正攻法で勝つことを求められていると諭されたんです」

 おもしろいのは原監督を評する際、前述したクリーンナップへの送りバント指示など、誰もが驚く采配が真骨頂として語られるケースが多いことだ。勝利への強い執着心、手段を選ばない用兵‥‥「美学」や「ロマン」が重んじられる傾向のあるプロ野球界では、そういった戦い方が「奇策」と捉えられることは決して少なくない。

 直近にもサンプルはある。8月6日の阪神戦のことだ。11点差をつけられた直後の8回一死の場面で、原監督は中継ぎ投手の温存策として野手の増田大輝をマウンドに送ったのに後続を抑えたものの、球界・球団OBや現役選手を巻き込む大論争にも発展した。しかし‥‥。「野手の投手起用も、主軸の送りバントも、原監督にとっては正攻法です。いかに合理的に勝利を、あるいはペナント優勝を手に入れるかという点で、当たり前の采配。慎之助も著書の対談時に『今の1軍は王道の野球をやっている。大輝の登板だって、今年のような過密日程のペナントでは邪道でも何でもないですよ』と語っていました。

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