玉木宏と川口春奈主演『極主夫道』を襲う「原作至上主義」魔の声

日刊大衆

(左より)川口春奈、玉木宏、志尊淳(※画像は『極主夫道』公式サイトより)
(左より)川口春奈、玉木宏、志尊淳(※画像は『極主夫道』公式サイトより)

 10月11日、玉木宏(40)と川口春奈(25)主演のコメディドラマ『極主夫道』(日本テレビ系)の第1話が放送された。初回の世帯視聴率は11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録したほか、『#極主夫道』がツイッター世界トレンド1位を記録するなど、順調な滑り出しを見せた。

『極主夫道』は、結婚を機に専業主夫になった炊事洗濯が完ぺきな元ヤクザ・龍(玉木)と、家事が壊滅的にできないキャリアウーマンの妻・美久(川口)、龍の元舎弟の雅(志尊淳)らをメインに繰り広げられるコメディ。1話から「ルンバが部屋の角まで掃除できず、“もっと角んところカチコまんかい!”と叫ぶ」「掃除に便利な重曹を手に取って主婦会で紹介する絵面が、どう見てもクスリの売人」など、コワモテのルックスやヤクザ丸出しのセリフと行動のギャップが視聴者に好評だったのだが、一部では批判の声も出ているという。

「原作はおおのこうすけ氏の同名マンガですが、原作ファンから作中のセリフ“思ってたのと違う!”というコマの画像を引用したツイートが多数投稿されたり、不満の声が出ているんですよ。役者の演技そのものは評判がいいんですが……」(女性誌記者)

■玉木×川口夫婦の演技そのものは高評価

 放送前は、単行本の実写版PVで龍を演じた、声優で舞台役者の津田健次郎(49)があまりにもハマリ役だったことや、玉木のこれまで演じたキャラの方向性からキャスティングを不安視する声も多かったが、漫画そのままの絶妙な表情や、迫力あるヤクザ口調で主夫丸出しなトークをする姿など、再現度の高さは原作ファンからも高く評価されている。

※津田健次郎版の実写版『極主夫道』

「川口も、10月11日にYouTubeにメイキング動画『連ドラスタート! ドラマのあれこれについて答えます!』を投稿。

“今回はコメディーだし等身大の女性に近いと思うと、役作りって必要ないのかぁ?と思ったりもします”と演技プランを話したり、実際にドラマでは原作の“ちょっと料理しようとしただけで部屋がグチャグチャになる”を見事に再現したりと、頑張っています」(前出の女性誌記者)

ワキを固める竹中直人(64)や稲森いずみ(48)らベテラン陣も、安定感のある演技を見せているのだが……。

■原作の違いに難色を示すファン

「それだけに、“もっと原作通りにしてほしかった”という不満の声が少なくない。たとえば、原作は和室の小さなアパートで暮らしていたが洋風のオシャレな一軒家になっていたり、ドラマオリジナルキャラに龍と美久の“娘”である黒田向日葵(白鳥玉季)がいたりと、変更点がかなり多いですからね。原作はウェブ配信されているんですが、コメント欄がドラマの話題で荒れていました」(専門誌記者)

 コメント欄を見ると、《ドラマの改悪が本当に酷くて悲しかった。2話以降は観ない》《安っぽいファミリードラマと極道ドラマをいい感じに切り取りましたみたいな感じで原作の面白さがなくて残念でした》《唯一許せるビジュアルは玉木宏と猫だけ》と辛らつな意見が目立った一方で、《これを機に原作を見始めた》《思ったより楽しかった》という声も多かった。

「原作にはない“別組織との抗争”も描かれて、少しシリアスな展開があるのも、ファンから不評を買いました。しかし、原作は1話がおよそ14ページで、各話が独立したギャグに全振りの短編です。オチがないままシュールに終わる回も多く、そのままドラマにするには難しい。

 部屋にしても、原作設定どおりだと照明が薄暗すぎて画面が暗くなってしまう。映像的なことを考えると仕方ないと思いますけどね……」(前同)

■実写化作品に批判はつきもの

『極主夫道』に限らず、「漫画や小説が原作の実写化作品」は、程度の差はあれ原作との違いから非難されることが多い。

 たとえば、原作:真倉翔・作画:岡野剛による同タイトルの漫画が原作で、関ジャニ∞丸山隆平が主演した14年のテレビドラマ『地獄先生ぬ〜べ〜』(日本テレビ系)は、原作で小学校が舞台だったのを高校に変更し、ひんしゅくを買ったことがある。

「『ぬ~べ~』は“キャラが高校生なのに言動が原作(小学生)から抜けてない”という声もありました。これはまだ真っ当な批判意見でしたが、07年の東野圭吾氏の小説が原作の『ガリレオ』(フジテレビ系)は、主人公・湯川(福山雅治)の相方を女性刑事の内海(柴咲コウ)に変更したことや、毎回大規模な科学実験を行う描写に難色を示すファンが多かったですね。描写的に盛り上がるし、分かりやすくて好評な演出ではあったんですが……」(制作会社関係者)

 漫画や小説と実写は別。ビジュアルをそのまま原作に寄せた『銀魂』や18年の『今日から俺は!!』(日本テレビ系)は、再現度の高さを称賛する声のある一方で、「コスプレみたい」と難色を示す視聴者もいた。万人を満足させることは不可能と言っていい。

■今回は原作者と相談で決めた結果の変更

 今回の場合、原作の「新米夫婦2人の生活」「悪役のいない優しい世界観」という根本的な部分を改変したことで不評を買ってしまった『極主夫道』。

 しかしそれは、以前よりも家族で過ごすことが多くなった昨今、家族みんなで笑いながら観てほしいという制作サイドが原作サイドが相談して追加することになった、時世を反映した要素だという。

 作品を担当した中山喬詞プロデューサーは、

「原作サイドともご相談させていただき、ドラマでは龍と美久に子どもがいるストーリーを作らせていただくことにしました」

「原作の醍醐味の1つである夫婦のコミカルなやりとりはもちろん活かしつつ、娘の向日葵を含めた3人による一層パワーアップした家族のやりとりを楽しんでいただければと思います」

「連続ドラマだからこそ描ける龍一家という仁義溢れる“組”の成長を、皆さんも一緒に見届けていただけると幸いです」

 と、メディアにコメントを寄せている。

 ドラマはまだ第1話。この時点で評価を決めるのは、まだ早い。

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