ビートたけしの名言集「板の上で客前に立つライブに貪欲な殿」 (1/2ページ)
「おい、やっぱりまだライブはダメか?」
今年、広島と東京で開催を予定していた「ビートたけし“ほぼ”単独ライブ」が、コロナ禍のため、どちらも中止になってしまいました。
殿はこの頃、わたくしの顔を見ると必ずと言っていいほど、先の言葉で確認してくるのです。他にも、
「今年はもうライブは無理か?」
「とりあえずライブは来年か?」
等々、とにかく、その日最初の話題はほぼ毎回、「実際、ライブはいつできるんだ?」的な話から入ります。
わたくしから見て今の殿は、小説を書くこと、映画を作ること、ライブをやること、この3つがモチベーションアップの源となっていて、楽屋での雑談はほぼこの3つの話題が独占します。そんな中でもライブは、最もよく出る話題だったりします。
浅草の“板の上”で修業を積んで世に出た殿は、いくつになっても“板の上で客前に立つこと”に貪欲で、そのための時間も労力も惜しみません。
で、実際のところ、ライブは今、ソーシャルディスタンスを守り、お客の数を制限すれば、できないことはないのですが、殿いわく、
「だけど舞台出てってよ、席が空いてたら、なんかちょっと気になるよな」
と、芸人ならば当然の感情を素直に口にしていました。殿は昔から、客の入りもそうですが、生の客の反応を誰よりも気にします。
以前、酒席にて「漫才ブームの思い出」といった話題で盛り上がった時、
「昔は舞台に出てって、客席に1人でも笑ってないヤツがいると、もうそこばっかり気になって仕方なかったけどな。何言ってもそいつが笑ってないと、イライラしちゃってよ」
と、話していたことがありました。
で、5年程前から始めた先の単独ライブも毎回、ライブ後には、「おい、ちゃんとウケてたか?」「前半、客が冷えてなかったか?」「途中から客が飽きてなかったか?」等々、とにかく“その日のウケ”について何度も確認してきます。