おうち時間の充実は「集中」がカギ 一石二鳥な「なぞりがき」のすごさ (3/3ページ)

けっこう上手になるものだ(という気がする)。

ちなみに「色即是空空即是色」には「極端な方向に走らずに、何事もちょうどいい塩梅をとりましょう」という意味があるのだそう。
練習の終わりには、コラムが載っている。たとえば「無色声香味触法(執着しがちな五感の感覚や、自身の考えへのこだわりもなくなる)」のページには
世の中にはいろいろな性格の人がいます。潔癖症だったり、せっかちだったり、激しやすかったり……。そのデコボコがあるからおもしろいのですね。(中略)個性を出しあい、自分の性質を把握して、人格を丸くし、そして人間関係をよりよくしていきましょう。少し丸まったデコボコこそが、人生をおもしろくします。(P61)
という法話が。とかくギスギスしがちな今の空気にしっくりくるお話だ。
◇
以上、『なぞりがき 百人一首』と『なぞりがき 般若心経』を試してみた。お手本をなぞるときはまさに全集中の呼吸!他のことを考える余裕はなく、ただ目の前の一字に全神経を注ぐ。やったことはないが、瞑想とかマインド・フルネスもこんな感じかと思う。一時間ほどかけてなぞりがきした後は、心地よい疲労感と、頭の中がスッキリ澄んだ感覚が得られた。
雑用でバタバタしていたら一日が終わっていた。あるいは、何もせずだらだらしていたら外は夕方…そのたびに「あ~またやっちゃった」とヘコむなど、家で過ごすのが苦手な人は案外多いのかもしれない。僕も含めそんな人に「なぞりがき」はいい取っ掛かりになりそうだ。僕以上に家にこもりがちな親にプレゼントしたら、結構楽しんでくれると思う。
手で字を書かなくなった今だからこそ、ふとしたタイミングでしっかりした字が書けると一目置かれるかもしれない。そんな期待も抱きつつ、なぞりがきで「おうち時間の充実」と「美文字」を目指してみてはいかがだろう。
(山田洋介/新刊JP編集部)