バンクシーに似せた作風で描くAI(人工知能)が登場しちゃった件

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バンクシーに似せた作風で描くAI(人工知能)が登場しちゃった件
バンクシーに似せた作風で描くAI(人工知能)が登場しちゃった件

バンクシー風の絵画を描くAIが登場 image credit:vole.wtf

 模倣学習をもとに独自の創作物を生み出すAIが脚光を浴びる中、ついにあのバンクシーの作風そっくりに描くAI(人工知能)が登場してしまったようだ。

 震えるぐらいの高値がつく落書きで世界をにぎわすバンクシーの画風を学びまくったこのAIは、バンクシーならぬギャンクシー(GANksy)というそうだ。

 バンクシーは覆面アーティスト故に、本物か偽物か紛らわしい作品もあるわけだが、ここでAIが登場しちゃったらさらにややこしくなりそうだ。
・名前も作品も模倣?バンクシーに似たAIアートが誕生

 先日「GANksy」というAIが「あるストリートアーティスト」を彷彿とさせる256点の傑作をこの世に生み出した。

 そのAIの名の響きといい作品の雰囲気といい、ストリートアーティストのバンクシーの影響が色濃いことはだれの目にも明らかだ。

 だが、AIの作成者であるMattRoundは自身にひらめきをもたらした「特定のアーティスト」の存在をほのめかしておきながら、そのアーティスト名の公表はひたすら拒んでいる。


・バンクシーとの類似点は一切なし。トーンとスタイルが違う?

 MattRoundはGANksyの作品とバンクシーの作品の類似点について尋ねられた際、バンクシーが「出力した作品」との類似点は一つもないと答え、彼のAIが出力した作品のトーンとスタイルの相違を指摘した。

 またバンクシーに似たAIの名についても、トレーニングに用いたGANs(敵対的生成ネットワーク)にちなんだものだと主張している。

 なのに「バンクシーがこれを楽しくクリエイティブなプロジェクトとして評価してくれれば幸いだ」などとコメントしていて、どこまでもにおわせるポーズを貫く気でいるらしい。


・価格は売れ行き次第?売れるたびに値上がりするシステム

 このAIアートプロジェクトはGANsと呼ばれる機械学習フレームワークの形式により開発されもので、元のサンプルに似た独自の作品を生成できるようになるまで5日間にわたるトレーニングが必要だったという。
 
 その後MattRoundはAIの作品256点を実験的なWebサイトVOLE.wtf !?で販売し、購入者がGANksyの署名入りデジタルファイルを独占できるようにした。

GANksyの購入者はオプションでこの見事なアートを名前とリンク付きで披露できるようになりました(すでに購入して名前の追加を希望する方はご連絡ください)


 なお作品の価格は当初1ポンド(約136円)だったが、作品が売れるたびに1ポンドずつ値上がりしていったそうだ。ちなみに10月27日時点の価格は92ポンド(約12万5千円)となっていた。


・やはり別物?法的な論争に発展するリスクは低いという声も

 にしても限りなくバンクシーめいた作品を販売するMattRoundは訴えられたりするのだろうか?この件を取り上げた一部の海外メディアは、これが法的な論争などに発展するリスクはさほどないとみなしている。

 作品の類似は否定できないが、GANksyのそれはシュールな作品であり、バンクシーのように人物やメッセージに焦点を当てたものではない点に相違があるというのだ。

 またツイッター上には、GANksyの作品と共に「MattRoundは著作権を侵害していない。あの人物(伏字)とは関係ない」という投稿もあるもよう。


 確かにこれらの作品にはバンクシーの特徴ともいえる皮肉やメッセージ性はなさげで、テイストは近くても何を描いているかわからないものばかり。

 ただこれはあくまでも素人の感想だ。これを購入した人やアートの専門家、バンクシーのファンはどう見てるのだろう?


・モネにオマージュしたバンクシーの絵画は10億円で落札

 一方で本物のバンクシーはというと、今月21日に彼が手がけたモネの「睡蓮」のパロディ「Show Me the Monet (ショーミーザモネ)」が落札されたばかり。

 印象派の絵画を模倣した庭園に、買い物用のカートや工事現場のコーンが捨てられているその作品は、サザビーズのオークションで750万ポンド(約10億円)を超える値段で落札されたという。

Banksy's take on Monet fetches $10 million at auction

 ちなみにそのタイトルはモネとマネーをかけた「Show Me the Money (ショーミーザマネー)」のもじりで、大量消費の社会や不法投棄による環境破壊を皮肉っているといわれている。

 さて、今回のAIアートについて当のバンクシーはなんらかのアクションを起こすだろうか?本家のバンクシーの反応が気になるところだ。

References:designtaxi / dazeddigital / vole.wtfなど /written by D/ edited by parumo
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