月面ウォーター:月の日の当たる場所にも水が存在するという決定的証拠を史上初めて確認(NASA)

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月面ウォーター:月の日の当たる場所にも水が存在するという決定的証拠を史上初めて確認(NASA)
月面ウォーター:月の日の当たる場所にも水が存在するという決定的証拠を史上初めて確認(NASA)

月面の太陽のあたる場所に水の存在を確認 image by:NASA's Goddard Space Flight Centre

 ついに決定的事実が確定した。月の陽があたる部分にも水があるのだ。

 2009年の報告によって、おそらくはあるだろうと推測されていたが、本当にそれが水であるかについてまだ議論の余地があった。しかし、このほど水特有の波長から、そこに水があるという決定的な証拠が初めて確認されたとのことだ。

SOFIA Discovers Water on a Sunlit Surface of the Moon

・本当に月面に水はあるのか?改めて確認

 これまで月面に水が存在すると断言できなかったのは、2009年の報告が3マイクロメートルの赤外線域波長を検出したというものだったからだ。

 この波長では、水以外にも、水素と酸素で構成される他のヒドロキシル化合物である可能性を捨てることができない。

 そこで『Nature Astronomy』(10月26日)に掲載された研究では、6マイクロメートルの波長の検出が試みられた。

 この波長は水素原子2個と酸素原子1個によってしか発生しないため、これが見つかれば、そこに紛うことなきH2O、すなわち水の存在が確定する。

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image by:NASA/JSC

 だが、6マイクロメートルの計測は言うほど楽ではない。

 現在、月探査機にこの波長を検出できる計測機器は搭載されておらず、しかも地球の大気が遮ってしまうために地上の天文台からも計測ができないのだと、研究グループの1人であるNASAゴダード宇宙飛行センターのケイシー・ホニボール博士はScience Alertで説明している。

 彼女によると、6マイクロメートルを検出できる唯一の観測機器は「成層圏赤外線天文台(SOFIA)」だとのこと。

 天文台といっても、SOFIAは望遠鏡を運ぶための飛行機だ。地球上にある99.9%の水蒸気より上空を飛行することができるので、大気に邪魔されることなく天体観測を行える。いわば飛行天文台である。

成層圏赤外線天文台
望遠鏡のドアが開いている成層圏赤外線天文台(SOFIA) image by:public domain/wikimedia

・月の水はガラスの中

 SOFIAで南極付近の上空から月を観測したところ、そこから確かに水特有の波長が検出されたという。

 この測定値に基づく推定によると、月の土壌1立法メートルあたりおよそ350ミリリットルの水が含まれていると、ホニボール博士は記者会見で説明している。

 だが月面の陽のあたるところに液体の水が存在するというわけではない。もちろん日光があたった途端に蒸発してしまうので、氷でもない。

 なんと、月の水はガラスの中に閉じ込められていると考えられるのだとか。

 月面に隕石が衝突したとき、そのエネルギーで周囲の物質が溶け、これが急激に冷えてガラスが形成される。

 もともとそこに水があったか、衝突で水が形成されたか、あるいは隕石に水が含まれていたかすれば、ガラスが冷えて固まる途中で水が閉じ込められるのだ。

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image by:NASA/JSC

・極地のクレーターにも水がある可能性

 また、極地のクレーターならば日光が届かず、その日陰の中に水が存在するかもしれない。

 米コロラド大学ボルダー校のグループによれば、月には4万平方キロほど永遠に日光があたらない地域があるのだという。そうした日陰では、温度がマイナス163度を超えることがないために、氷の水が存在するかもしれないそうだ。

 4万平方キロの日陰の6割が月の南極に存在したとのことで、こちらも同じく『Nature Astoronomy』(10月26日付)で報告されている。

 NASAが現在、準備を進めている「アルテミス計画」では、月面基地の設置が予定されている。その近くで水を確保できるのなら、飲料水や農業用水として利用したり、それを電気分解してロケットの燃料(水素)を作り出すこともできるそうだ。

References:NASA’s SOFIA Discovers Water on Sunlit Surface of Moon | NASA/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2020/10/29)本文を一部訂正して再送します。
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