紅葉に染まる山の「鬼伝説」。妖しく恐ろしくも美しい鬼女・その名は紅葉(もみじ)【前編】 (3/4ページ)
子どもができない夫婦が、第六天の魔王(仏教において修行を妨げる魔王)に願いを捧げ、女児を授かる。
「呉葉(くれは)」と名付けられた女の子は、成長するにつけ、その美貌と知性の高さで広く知られるようになった。
そんな呉葉の評判を聞き、ぜひに嫁に欲しいと、金持ちの息子が望むものの、縁談に乗り気ではない呉葉は、秘術により分身の美女を生み出し自分の身代わりとして、両親と共に京の都へと逃走する。
【美貌で源経基の寵愛を受けた紅葉】
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京で両親は小間物屋を営み、呉葉は「紅葉」と名を変え、琴を教えることで生計を立てる。
ある日、通りがかりに紅葉の奏でる琴の音色に惹かれた源経基。
琴の腕前と抜きん出た美貌を持つ紅葉に惹かれ屋敷に呼び寄せる。日々、寵愛を受けた紅葉は経基の子を妊娠。
それと同時に、経基の奥方は体調が悪くなり、「夜中に『鬼』が襲ってくる」……と訴えるようになる。