米陸軍、従来より40%も軽い携帯用戦闘糧食を開発中。近接戦闘時に使用
従来より40%軽い戦闘糧食を開発 Military_Material/pixabay
現在、アメリカのマサチューセッツ州にある陸軍戦闘配給局が、従来の戦闘糧食(MRE)よりも総重量を40%軽減した近接戦闘用の携帯用食料『CCAR(Close Combat Assault Ration)』を開発中だ。
軽くなったらおいしくなくなっちゃうんじゃない?と心配しちゃうわけだが、味はもちろん、栄養価値の高い食品の加工技術を使用し、包装の見直しもなされてコンパクトになることで、軍隊の戦闘負荷を減らすことが期待されているという。『Military.com』などが伝えている。
・米陸軍が軽量化した戦闘糧食を開発中
長期にわたる戦いへの参加に備えるため、米陸軍では荷物の重さを配慮し、配給食をより軽いものにする改善が必要とされていた。
そこで、マサチューセッツ州ネイテックにある陸軍戦闘配給局では、標準的な食事を栄養面でより増強したすぐに食べられる戦闘糧食(MRE)、もしくはそれに代わる栄養豊富なエネルギーバーの品揃えを含む近接戦闘用配給食(CCAR)の開発に取り組んできた。
その結果、水分削減技術により、これまでのMREの重量の40~70%が削減されるという大幅な軽量化に成功した。
CCARの開発に携わっている食品工学のチームリーダー、ローレン・オレクシクさんは、先月初めのインタビューでこのように語っている。
CCARは、非常に軽量でコンパクトになるよう設計された配給食で、必要に応じて完全食代替バーを作ることができる乾燥と圧縮技術を使用しています。食品の加工と包装の改善を目標とし、全体で40%の重量減を目指しています。
これにより、軍隊が戦闘負荷を増やすことなく、より多くの食料を運ぶことができることが期待されます。
・プロトタイプの試食は好評
パッケージ圧縮により体積の減少も可能となるCCARのプロトタイプの初期の評価は好評のようだ。
先月、米陸軍訓練教義コマンドの副司令官テッド・マーティン中将は、サンプルを試食したことをTwitterでシェアし、「自分は食にうるさい方だが、サンプルを試食して感銘を受けた。半分ほど食べずに捨てていた従来のMREとは異なり、これなら完食できる」と食の質と軽量化を称賛した。
Check out this new Combat Ration that Natick Labs is testing. Wow! @RobertIrvine @DogFaceSoldier @brian_irishfan @PaulFunk2 @ViceCHINFO @WestPoint_USMA @GoArmyWestPoint @WPAOG #usma pic.twitter.com/klsgfWMnk4
— TRADOC_DCG (@TradocDCG) October 24, 2020
ちなみに、従来のMREの重量は平均510~740グラムほど。平均1250カロリーのメインディッシュと複数のサイドディッシュの他、加熱用使い捨てヒーターや調味料など、重量が追加される付属品も含まれている。
CCARがMREに直ちに代替されるわけではないが、現在、軍の食品科学が軍隊に満足感を与えることのできる、より乾燥・圧縮された栄養価の高い食事の軽量化開発の成功に向かっていることは確かだといえよう。
written by Scarlet / edited by parumo